デバイス化が容易なハーフメタルの熱電性能を4倍向上させる方法を確立 東北大学と中国清華大学

東北大学は2024年1月4日、同大学大学院工学研究科と中国の清華大学との共同研究グループが、p型ハーフメタルであるマンガン・バナジウム・アルミニウム合金(Mn2VAl)に生じるアンチサイト欠陥の量を精密に制御するとともに、ケイ素(Si)でアルミニウム(Al)を部分置換することでp型の熱電性能を約4倍向上させることに成功したと発表した。エネルギーハーベスティング技術への応用が期待される。研究成果は、2023年12月12日、材料科学の専門誌Journal of Materiomicsに掲載された。

研究グループでは、ボールミル(粉砕機)で原料のマンガン(Mn)、バナジウム(V)、Alを微粉末にして放電プラズマ焼結でMn2VAlを合成し、緻密な円盤状試料を作製。その試料を高温で加熱した。

この際、各工程でボールミルの回転時間や放電プラズマ焼結の保持時間、高温加熱時間を変えたところ、各工程の時間が長いほど、アンチサイト欠陥量が増加することを確認。時間を調整することでアンチサイト欠陥量を13%から50%の範囲で制御することに成功した。

さらにMn2VAlのアンチサイト欠陥量が33%になる作製条件で、AlをSiで部分置換したMn2V(Al1-xSix)を作製。熱電性能を調べたところ、アンチサイト欠陥量とSi置換量の最適化によって性能が約4倍向上することがわかった。この値は、p型ハーフメタルの中では最も高い。

Mn2VAlのような熱電材料は、排熱を電気に直接変換できる、環境にやさしいクリーンなエネルギーハーベスティング材料として注目されている。これまで熱電材料として高性能の半導体が開発されてきたが、デバイス化の際に金属電極との接合を工夫する必要があった。このため研究グループは、熱電材料として金属を用いれば、金属電極との接合が容易になるとして、金属のような電気的性質を示すハーフメタルに注目。既に半導体に匹敵する熱電性能を持つn型ハーフメタル(Co2MnSi)を開発している。しかし、n型と組み合わせて使うp型の熱電性能がn型に比べて極めて低いことが課題だった。

今回、開発したp型ハーフメタルの熱電性能はn型の6分の1に迫り、熱電材料として有望といえる。研究グループは、p型のさらなる性能向上を図れば、ハーフメタルを使ったエネルギーハーベスティングの実用化が期待できるとしている。

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デバイス化が容易なハーフメタルの熱電性能を4倍向上… | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-

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