- 2024-1-17
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- DSV, FAMESコンソーシアム, Physik Instrumente, Safran Reosc, SCHOTT, VDL ETG Projects, アクチュエーター, イオンビームフィギュアリング, セグメントサポート, セグメント鏡基板, パラナル天文台, 主鏡(M1), 欧州南天天文台(ESO), 超大型望遠鏡(Extremely Large Telescope:ELT)
欧州南天天文台(ESO)は、2023年12月18日、建設中の超大型望遠鏡(Extremely Large Telescope:ELT)に使用する主鏡(M1)を構成するセグメント鏡基板のうち最初の18枚が、チリのアタカマ砂漠にあるパラナル天文台のELT技術施設へ向けて出荷されたと発表した。
世界最大の望遠鏡鏡面となるM1は直径39mを超え、物理的に一体で作ることができないため、大きな六角形のセグメント鏡基板798枚を配置して構築する。チリのELT技術施設へ運搬されたセグメント鏡基板は、望遠鏡の主構造に取り付けるためのコーティングがされることとなる。
独SCHOTTがドイツのマインツにある施設でM1を構成するセグメント鏡基板を鋳造した後、世界有数の光学システムメーカーである仏Safran Reoscがフランス中部のポワチエ近郊で、製造工程の最終段階である研磨を行った。鏡の表面の凹凸は人間の髪の毛の1000分の1相当の10ナノメートル以下という高い水準に到達するために、イオンビームが鏡の表面を掃引し、原子ごとに凹凸を取り除くイオンビームフィギュアリングと呼ばれる技術が用いられた。週当たりの生産率はセグメント鏡基板4枚超を達成しており、まもなく1週間に5枚の生産が可能になる見込みだという。
この他に、オランダのVDL ETG Projectsが繊細なセグメントサポートを製造し、ドイツとフランスのFAMESコンソーシアムは各セグメントの相対位置を監視するナノメートル精度のセンサー4500個を開発製造し、独Physik Instrumenteがセグメントをナノメートル精度で位置決めできるアクチュエーター2500個を設計製造するなど、多くの企業がM1セグメント鏡基板の製造に関わっている。また、デリケートな仕事となるセグメント輸送は、デンマークのDSVが担当している。
2023年12月18日時点で出荷されたセグメント鏡基板はわずか18枚だが、2023年11月1日に製造ラインから出荷された100枚目が、最終集荷前の大規模な検査段階に入っているという。ESOは、「ELTが完成して運用を開始すれば、ELTは現代最大の天文学的課題に取り組み、まだ想像もつかないような発見をすることになるだろう」と述べている。
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