酸化ガリウムSBDの実機動作を確認 ノベルクリスタルテクノロジーが国内初

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」の一環として、酸化ガリウム(β-Ga2O3)ショットキーバリアダイオード(SBD)の製品化に取り組むノベルクリスタルテクノロジーは2023年4月6日、β-Ga2O3SBDの実機動作の確認に成功したと発表した。開発中の耐圧1200Vのβ-Ga2O3SBDを電流連続型PFC回路に搭載したところ、出力電圧390V、出力電力350Wという高出力で正常に動作した。高出力で実機動作を確認したのは国内で初めてとなる。

近年、Si半導体の性能を超える新材料としてβ-Ga2O3が注目されている。β-Ga2O3は「融液成長法」によって高品質の単結晶基板を安価に製造できるため、β-Ga2O3パワーデバイスが実用化されれば、電気自動車や鉄道車両、産業用機器、太陽光発電、風力発電などのパワーエレクトロニクス機器のさらなる低損失、低コスト化が期待できる。

ノベルクリスタルテクノロジーは、2020年から2年間、NEDOのプロジェクトに参加し、アンペア級、1200V耐圧β-Ga2O3SBDの開発に成功するなど大きな成果を上げてきた。

今回の実証試験ではβ-Ga2O3SBDを、350Wという高出力電源のPFC回路に搭載し、電流連続動作が可能かを調べた。その結果、広く使用されるシリコン(Si)製のファストリカバリーダイオード(Si FRD)に比べて逆回復リカバリー電流を大幅に抑制しながら、動作することを確認。電力変換効率もSi FRDより1%改善されていた。

今回の成果を受け、中耐圧(600-1200V)のβ-Ga2O3SBDが今後、パワーエレクトロニクス機器に採用される可能性も高まる。同社は、太陽光発電向けパワーコンディショナーや産業用汎用インバーター、電源などのパワーエレクトロニクス機器の高効率化、小型化のほか、自動車の電動化や空飛ぶクルマなどの電気エネルギーの効率利用への貢献が期待できるとしており、2030年の日本における省エネ効果量として年間10万KL(原油換算)を目指している。

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国内初、酸化ガリウムショットキーバリアダイオード搭載の出力電力350W電流連続型力率改善回路の実機動作確認に成功 | ニュース | NEDO

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