風力タービンよりも高効率――振動を使ってエネルギーを得る「Wind Panel」を開発

イギリスの風力発電スタートアップ企業Katrick Technologies は、従来の風力発電用タービンブレードと比較して、より広い範囲の風を低い位置で捉えることができる、独特な風力発電システム「Wind Panel」を開発、アルファステージ1と呼ばれる性能試験を実施した。

Wind Panelの特徴は、風力エネルギーを従来のタービンのような回転によってではなく、振動によって変換するところにある。Wind Panelは、風の運動エネルギーを受けてそれぞれが独立して振動する翼型(エアロフォイル)を内蔵したチャネリングダクトを備えており、エアロフォイルの機械的振動がエネルギー変換される。このダクトは、Manufacturing Technology Centre(MTC)との提携により設計されたもので、風速を高めてエアロフォイルにより高い速度の風を集中させることができる。

一般的にローターを使った風力発電タービンは、地表10m以上を流れる流速の高い層流の風を利用するが、Wind Panelは地表近くに設置して、風速や風量の変化がほとんどない地表近くを流れる風を利用できるため、従来の回転タービンよりも効率的に風力エネルギーを得ることが可能だ。

研究チームは、Strathclyde大学において80 時間、51項目 の試験を実施した。このWind Panelのプロトタイプは、アルファステージ1において風速毎秒12 m時に25~40 Wの出力を得ることが目標だったが、実験結果は目標値を上回り、風速毎秒10.2 mで平均出力41.1 Wを達成した。システムの総合的な効率は3.6~5.8%程度と想定されていたが、こちらも予想を上回る平均6.85%となった。

同社は現在、アルファステージ1の成功を受け、商品化に向けた次のステップであるステージ2、ステージ3に取り組む計画だ。

関連情報

Successful urban wind energy prototype — Katrick Technologies

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