MITの学生チーム、水素燃料電池を動力とするオートバイを開発

Photo: Adam Glanzman

マサチューセッツ工科大学（MIT）の電気自動車チームは、水素を利用した新しい輸送手段のテストベッドとして、燃料電池システムを使用した水素駆動の電動バイクを製作中だ。この電動バイクは、2023年10月に初の本格的なテスト走行に成功した。さまざまなコンポーネントを交換してテストできるオープンソースのプラットフォームとして設計されており、チームが公開している情報をもとに、誰もが自分で試作することができる。

チームのメンバーは、バッテリー駆動の自動車は環境には恩恵があるものの、航続距離にはまだ限界があり、リチウムの採掘とそれに伴う二酸化炭素の排出といった問題があると考え、クリーンな代替手段として、ガソリン車と同じように素早く燃料を補給できる水素燃料車を研究することに興味を持ったという。約12人の学生からなるチームは、2023年1月からプロトタイプの製作に取り組み、2023年10月には「Hydrogen Americas Summit」で水素燃料オートバイを発表。2024年5月には「World Hydrogen Summit」で発表するためにオランダに行く予定だ。2つの水素サミットに加え、チームはラスベガスで開催される「CES 2024」でもこのバイクを展示した。

チームは1999年製のオートバイのフレームを使用し、電気モーター、水素タンク、燃料電池、ドライブトレインを搭載するために多くの特注部品を追加した。バイクのフレームの限られたスペースに、全ての部品が収まるようにするため、干渉しないような取り付け方を何度も試行錯誤しなければならなかったという。プロジェクトの一環として、チームメンバーはこの水素燃料電池オートバイをどのように設計し組み立てたのかを解説するテキストブックを製作している。このオートバイのような製品はまだなく、試作品もごくわずかだ。チームは、全てをオープンソースとして利用可能にすることがゴールの一つだとし、このオートバイを研究や教育を目的とする研究者が利用できるプラットフォームにしたいという狙いがある。

研究チームによれば、いくつかの企業によって開発された数少ないプロトタイプは、非効率的で高価なものだったという。完全にオープンソースで、厳密に文書化され、テストされ、プラットフォームとしてリリースされた燃料電池モーターサイクルは、彼らが知る限り、これが世界初とのことだ。

MITの学生チーム、水素燃料電池を動力とするオートバイを開発