3Dプリント可能で自己修復するポリマーを開発――硬さの調節も自由自在

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Image: Matt Linguist

テキサスA&M大学と米陸軍戦闘能力開発コマンド(CCDC)陸軍研究所の研究チームは、自己修復や形状記憶といった特性を持ち、再生可能な新しいポリマー材料を開発した。硬さも調整可能で、3Dプリンターを使って義肢やソフトロボットを作製できるほか、軍用プラットフォームにも利用できる。研究結果は、2020年5月19日付の『Advanced Functional Materials』に掲載されている。

研究チームが開発した材料は、ゴムのように柔らかいものから耐荷重性プラスチックのように硬いものまで、質感の幅を持った合成ポリマーファミリーだ。通常、材料の硬さは、ポリマー同士を連結する架橋の密度を変えることで調整できる。研究チームは材料に再生可能性を付加するために、動的で可逆的な架橋について研究を進めた。

そこで、架橋分子であるフランとマレイミドに着目し、両者のDA(Diels-Alder:ディールス・アルダー)反応を利用した。プレポリマー中のフランとマレイミドの数を増やすと材料が硬くなることから、MPaからGPaまでのオーダーで剛性を変えることに成功した。

DA反応は可逆的で、高温ではフランとマレイミドはポリマー鎖から離れ、材料は柔らかくなる。室温では再架橋するので硬くなる。そのため、材料が周囲温度で破れても数秒で自己修復可能で、その性質は空気中や水中でも発揮されるという。

架橋剤がポリマー鎖から解離する温度は、材料の硬さが異なっても比較的同じだった。硬さによらずほぼ同じ温度で溶けるので、3Dプリンターのインクとして使うと、さまざまな強度のレイヤーでできた3Dオブジェクトが作製できる可能性がある。

こうして作った3Dオブジェクトは室温で自然硬化するため、特別な硬化処理や化学処理は不要だ。また、再び高温にさらせば溶けて元のインクに戻るため、材料を再利用できる。ある形に印刷してから熱処理してべつの形へ再プログラムすることも可能だとしている。

「義肢やソフトロボットといった現実的なものだけでなく、航空機用の迅速なプラットフォームや自己修復する未来的な飛行機の翼など幅広い軍事用途にも理想的だ」と、研究チームを率いるSvetlana Sukhishvili教授は語る。

現在、室温における自己修復は約80%まで到達したが、研究チームは100%の修復率を目指している。また、機能性を高めると同時に、光など温度以外の刺激に対する応答性についても検討している。将来的には、ユーザーが処理を開始しなくても自律的に変化できるようにしたいということだ。

関連リンク

Versatile new material family could build realistic prosthetics, futuristic Army platforms

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る