- 2024-2-6
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九州大学は2024年2月2日、京都大学、千葉大学、東京大学と共同で、スーパーコンピュータ「富岳」を用いて高速電波バーストの再現に成功したと発表した。
高速電波バーストは、突然に短時間のみ電波で輝く天体現象だ。宇宙最大規模の電波爆発と言われているが、発生源は未解明な部分が多い。観測結果からマグネターと呼ばれる非常に強い磁場の中性子星から放射されていると推測されているが、その実証には超大規模シミュレーションが必要であるためこれまで実証されることがなかった。
今回の研究では、理化学研究所のスーパーコンピュータ富岳を使ってシミュレーションを実施。第一原理シミュレーションによって、衝撃波からの電波放射の特性を明らかにした。同大学によると世界初となる。63万4800個の演算コアおよび400テラバイトの物理メモリを使用し、10兆個のプラズマ粒子の運動を解き明かした。その際、研究グループ独自の計算コードも用いることで、超大規模シミュレーションが実現できたという。
シミュレーションの結果、電波の放射強度と周波数が、観測と整合的であることが分かった。また、偏光に関しては観測研究で広く使われている手法により定量的に評価。その結果、電波が強い直線偏光していること、偏光面が時間と共に変動することを発見した。これらの結果も観測を矛盾なく説明できるという。
今回のシミュレーションは高速電波バーストを正しく再現しており、衝撃波からの電波放射が高速電波バーストの起源であることを裏付ける成果を初めて得られたという。
高速電波バーストの電波信号には、その信号が地球に到達するまで通過してきた宇宙の情報が刻まれている。高速電波バースト発生のメカニズムを解明することは、宇宙の進化や構造を探る宇宙論に対して大きな波及効果をもたらすことが期待できるという。