- 2024-2-15
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- William Frank, すべり収支, プレート, プレート境界部, マサチューセッツ工科大学(MIT), 学術, 東日本大震災, 相対運動, 群発地震, 能登半島地震
マサチューセッツ工科大学(MIT)の地球物理学者William Frank教授が、同大学のWebサイトに2024年1月24日付で能登半島地震と群発地震との関係を解説した。以降は、William氏による一般的な地震と群発地震の違い、群発地震の予測が困難である理由などについての説明だ。
2024年1月1日に発生したマグニチュード7.6の能登半島地震による死者は、200人を超えた。一方、2011年の東日本大震災はマグニチュード9.1の地震で、津波が発生し2万人以上が亡くなっている。複数のプレートの接合部に位置する日本では、地震が多い。プレートが移動する際に応力が生じ、プレート境界部で地震が発生しやすいためだ。東日本大震災もプレート境界部の地震だ。しかし、能登半島地震はプレートの沈み込みによるものではない。能登地方では2020年以降、群発地震が発生しており、能登半島地震はこの一連の群発地震の一つなのだ。
一般的な地震は、本震と呼ばれる大きな地震があり、その後余震が続く。しかし、群発地震は大きな地震の前後に多数の地震があり、明確な本震がない。ただし、多くの場合、群発地震の期間中に他よりも大きな地震が1回だけ発生する。群発地震は一般的にプレート境界付近で発生するが、例外もある。群発地震は、数日から数年持続する。地震が発生したときに、群発地震とその地域の一般的な地震を見分ける明らかな方法はない。群発地震だとわかるのは、一定期間を経過した後だ。一般的に、群発地震は活性化し、持続的な活動レベルに達した後、再び活性化する。東日本大震災と能登半島地震では、発生した場所にも違いがある。東日本大震災の震源は太平洋沖だったため揺れは強いものの、最大の被害は津波によるものだった。一方、能登半島地震の震源は陸地だったため、大津波が発生することはなかった。
大地震後の地震活動について考えたとき、一般的な地震は余震の可能性についてある程度予測することができる。しかし、群発地震では大地震後の地震活動についてよくわかっていないため、今後のどのような地震が起こるかは明らかではない。群発地震が大きな地震により止まり、その後地震が起きないこともあれば、地震が持続してさらに大きな地震が発生することもある。大地震がより大きな地震の前兆であるという説を聞いたことがあるかもしれない。しかし、これはプレート境界部における地震の話だ。プレート境界部では相対的な動きやプレートが非常に強固であることがわかっているため、すべてのプレートの動きが境界部で吸収されることが知られている。これにより、プレートが長期間どのように動くかはある程度予測できるのだ。
しかし、群発地震では地震を起こす実際の構造がどのようなものかよくわかっていない。地震が発生する可能性のある場所も明確ではないため、断層に沿ったすべり収支のような単純なモデルを使えない。どのような構造が地震を引き起こしているのか、長期間にわたってどのような相対運動が予想されるのかを深く理解するまで、詳細の地震活動を予測することはできないのだ。