二酸化炭素を吸着してスピン状態を変化させる金属錯体を開発

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東北大学は2020年4月16日、熊本大学と共同で、二酸化炭素を吸着してスピン状態を変化させる金属錯体の開発に成功したと発表した。室温で選択的に二酸化炭素を吸着し、吸着前後で異なるスピン状態を示すコバルト(II)錯体を合成したという。

研究では、外部刺激のエネルギーが比較的小さくてもスピン状態を変換できるコバルト(II)イオンに着目。ガスに応答する電子状態変換を目指し、カルボン酸を置換基として導入したターピリジン配位子を用いてコバルト(II)錯体を合成した。

この化合物は、分子間相互作用で錯体分子が集合し、その集合体が擬似的な細孔を形成する。細孔は合成直後、水分子が入っているが、高温で加熱して水分子を除いてもこの穴が保たれる。そこで酸素、窒素、二酸化炭素の吸着実験を実施した結果、選択的に二酸化炭素のみを吸着することが明らかになった。

水分子を取り込んだ状態でスピン状態を測定すると、300K(27℃)までの低温度領域でコバルト(II)錯体は低スピン状態となる。しかし、水分子を除くと、400K(127℃)で高スピン状態から100K(−173℃)以下で低スピン状態に徐々に変わる熱誘起スピンクロスオーバーを示した。さらに、脱水後も保たれる細孔は、最高2分子の二酸化炭素を吸着するという。

この二酸化炭素吸着は、コバルト(II)錯体の低スピン状態を安定化し、二酸化炭素分圧によって高スピン-低スピン変換の転移温度を変化させている。室温では、高スピン状態と低スピン状態をスイッチできることが分かった。

研究では、低エネルギーでも電子状態変換ができるコバルト(II)イオンを使用した錯体設計によって、二酸化炭素吸着と電子状態変換を明らかにしたが、配位子の設計変更により、さまざまなガスに応答して電子状態を変換するコバルト(II)錯体の合成が可能と考えられる。今後、二酸化炭素を検知する金属錯体型ガスセンサーとしての利用が期待できる。

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