バクテリアのエネルギーで数週間稼働するバイオ電池を開発

IoT技術の発達に伴い、遠隔地でセンサーやデバイスがデータ通信を行うための電力を供給する手法の研究も拡大しているが、バイオ電池は解決法として注目されている手法の一つだ。ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の研究チームは、3種類のバクテリアの相互作用を利用して、数週間電力を供給できるバイオ電池を開発した。研究成果は、『Journal of Power Sources』誌に2022年7月1日付で公開されている。

バイオ電池は、細胞のエネルギー代謝系を模倣した電池だ。生物の最も一般的なエネルギー源はグルコースで、細胞はグルコースを分解するときに電子も同時に放出する。バイオ電池は、この反応を利用して機器に電力を供給する。

研究チームのChoi教授は長年バイオ電池の研究に取り組んでおり、これまでに2種類のバクテリアを利用したバイオ電池を開発している。この電池は機器を動作するのに十分な電力を生成できるものの、寿命が短く数時間しか稼働できないという課題があった。

今回研究チームは、遠隔地での長期的な利用を目指し、使用するバクテリアの数を2種類から3種類に増やし、寿命を数週間に延長したバクテリアバイオ電池を開発した。3種類のバクテリアは区切られたチャンバーに別々に入れられており、各チャンバーは垂直に設置されている。一番上は光合成細菌で、下のバクテリアの栄養源となる有機物を光合成により生成する。一番下が電気を作るバクテリアで、中央のバクテリアは電子伝達の向上に役立つ化学物質を生成する。

また、このバイオ電池は組み立て方も新しい方式を採用している。電池は3cm四方のブロックに入っており、組み立てブロックのように簡単に組み合わせられるプラグ・アンド・プレイ方式を実現した。用途に応じてブロックを組み替えて、必要な電圧や電流を供給できるという。

研究チームは今後、過酷な環境下で損傷した際の自己修復機能や、水に浮く電池パッケージの開発に取り組みたいと考えている。また最終的な目標として、研究チームが「スマートダスト」と呼ぶ、バクテリアが2〜3個で発電するような超小型電池の開発を目指している。

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