曲げた機能性フィルムの表面ひずみを簡便に定量計測する手法「表面ラベルグレーティング法」を開発 東工大と東大

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東京工業大学は2021年3月3日、同大学科学技術創成研究院と東京大学の研究グループが、機能性フィルムの簡便な表面ひずみ計測法「表面ラベルグレーティング法」を開発したと発表した。フィルム表面に光を回折するグレーティングを貼り付け、フィルムの曲げによる表面ひずみを高精度にリアルタイム計測するという。

画面が曲がる有機ELスマートフォンなどのフレキシブル電子デバイスは、フレキシブルフィルム上に電子部品やセンサーを積み重ねることで開発されるが、これまでデバイス破壊の原因となる表面ひずみを簡便に計測する方法がなかった。そこで、湾曲によるフィルムの表面ひずみを簡便に定量計測できる「表面ラベルグレーティング法」を開発。この計測法により、0.01%以下の表面ひずみを高精度に計測できる。

表面ラベルグレーティング法では、フィルム表面に回折格子と呼ばれる数µm周期の凹凸を持つラベルを貼り付ける。レーザー光をこのフィルムに入射すると、光が凹凸の周期に応じて回折する。

フィルムを曲げながら回折角を計測すると、高精度にフィルムの表面ひずみを計測できるという。表面が滑らかであれば原理的に対象物を問わない汎用性の高い手法であり、プラスチックに加え、ガラスや異種物質を積み重ねた積層フィルムの表面ひずみの計測にも成功している。

表面ラベルグレーティング法は、高精度に0.01%以下の表面ひずみを計測でき、論文ではスマートフォンの保護フィルムに使用されるハードコートフィルムが1.45%の表面ひずみで割れることを解明。この指標をもとに、曲げても割れないハードコートフィルムを開発したという。

この開発したフィルムは、柔軟なフィルムを2枚のフィルムでサンドイッチした三層構造を持ち、大きく曲げても1%程度しかひずまない。三層フィルムをハードコートフィルム作製に使用したことで、曲げても割れないハードコートフィルムとなっている。

三層フィルムは、厚さ200μmとフレキシブルデバイスに使用される通常のフィルムよりも数倍厚いが、表面ひずみは60%程度小さい。東京大学の半導体転写技術を応用し、有機トランジスタを三層フィルム上に構築したところ、開発したフレキシブルトランジスタは曲げてもデバイス機能がほとんど低下しなかったという。

表面ラベルグレーティング法により、これまでの勘と経験に頼った素材開発から脱却できる。今後、簡便な表面ひずみの計測により、明確な定量指標のもと材料設計ができ、フレキシブルデバイス開発だけでなくソフトロボット開発などへの応用が期待できる。

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