- 2024-5-22
- 化学・素材系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Alice Zhu, CSIRO, Denise Hardesty, トロント大学, プラスチック廃棄物, 底引き網, 海洋生物, 遠隔操作船(ROV)
オーストラリアの国立科学機関であるCSIROは、2024年4月5日、カナダのトロント大学との共同研究の結果を発表し、300万トンから1100万トンものプラスチック廃棄物が、海底に堆積していることを明らかにした。
CSIROのシニアリサーチサイエンティストであるDenise Hardesty博士は、今回の研究のなかで、プラスチック廃棄物の海底での堆積量や、細かく分解され他の堆積物と混合する過程を初めて推定した。網やコップ、ビニール袋などより大きなものにも注目している。
堆積の状況を推定する根拠として、遠隔操作船(ROV:remote operated vehicles)と底引き網のデータを使用した。研究者らは、ROVのデータに基づき、プラスチックの大部分が大陸周辺に集中していると推定した。また、世界の海底に存在するプラスチックの46%は水深200mより浅い海域にあり、残りの54%は水深200mから1万1000mまでの深海にあると予測している。
この研究を主導したトロント大学の博士課程候補者Alice Zhu氏によると、海底にあるプラスチック廃棄物の堆積量は、海面に浮遊するプラスチックの最大100倍にもなると推定している。
Zhu氏は、海洋の表面付近はプラスチックの移動における一時的な「中継点」であり、海洋へのプラスチックの流入を抑制すれば、堆積量は減少すると予想している。同氏は、プラスチックが最終的に到達した深海が、恒久的な堆積地だと説明している。
さらにZhu氏は、プラスチックが深海に到達し堆積するメカニズムを理解することは、発生源の削減と環境の修復に必要な情報だと説明した。またその結果、プラスチック廃棄物が海洋生物にもたらす可能性のあるリスクを軽減するのに役立つ、と研究の意義を語った。
関連情報
Ocean floor a ‘reservoir’ for plastic pollution, world-first study finds – CSIRO