プログラム不要で学習する、半導体ベースの「ニューロトランジスタ」を開発

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Foto: TU Dresden / E. Baek

従来の手法によるマイクロエレクトロニクスの最適化が物理的限界を迎えつつある中、情報を効率的に処理、保存する方法について生物からヒントを得ている研究者がいる。ドレスデン工科大学とドレスデン・ロッセンドルフ研究センター(HZDR)の研究チームは、半導体材料を用いて脳のニューロンの機能を模倣することに成功した。研究成果は、『Nature Electronics』誌に2020年5月25日付で公開されている。

ロボットの歩行指導や正確な自動画像認識などを行う人工知能の分野では、より強力かつ経済的なコンピューターチップが求められている。従来トランジスタをはじめとする個々の部品のサイズを小さくすることで、マイクロエレクトロニクスの性能を向上させてきたが、この手法には限界がある。

研究チームは、バイオセンサーの原理を用いてニューロンの特性をシミュレーションし、昔ながらの電界効果トランジスタを改良して人工ニューロントランジスタを開発した。人工ニューロントランジスタには、情報の保存と処理を1つのコンポーネントで同時に行えるという利点がある。これまでのトランジスタ技術では、保存と処理が分かれているため処理時間がかかり、最終的に性能が制限されていた。

人工ニューロントラジスタの回路は、従来のシリコンウェハーにゾルゲルコーティングをして形成する。塗布したポリマーは硬化すると多孔質のセラミックになる。イオンは穴の間を移動するが、電子より重く、励起しても元の位置に戻るのが遅い。ヒステリシスと呼ばれるこの遅れが、トランジスタの機能に決定的な影響を与えている。個々のトランジスタは励起すればするほど、すぐに開いて電流を流せるようになり、接続を強化する。すなわちシステムは学習していると言える。

研究チームによれば、開発したチップを用いたコンピューターは、小数点以下を限りなく計算するよりも数学的計算を推測することに役立つという。例えば、このプロセッサーを搭載したロボットは、歩くことや握ることを学習する。つまり、ソフトウェアを開発することなく、光学システムを有し、接続認識を学習する。さらに、人間の脳に似た可塑性のおかげで、操作中に変化するタスクに適応し、もともとプログラムされていなかった問題を解決できるという利点があるとしている。

関連リンク

Nanoelectronics learn the same way as the human brain
Intrinsic plasticity of silicon nanowire neurotransistors for dynamic memory and learning functions

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