6G向け電波偏向制御技術を開発――テラヘルツ波の伝播方向を広角制御 東北大学

東北大学は2023年8月7日、広角制御が可能な第6世代移動通信システム(6G)向けの電波偏向制御技術を開発したと発表した

世界ではすでに6Gを見据えた研究開発が開始しており、6Gでは5Gよりもさらに波長の短いテラヘルツ波が使用されることが明示されている。テラヘルツは障害物に遮蔽されやすいために、進行方向を制御して遮蔽エリアに信号を届ける技術が必要になる。しかし、これまでの周波数掃引によるテラヘルツ波の偏向制御技術は、電力効率が低く偏向角度も狭いという課題があった。

今回の研究では、低損失誘電体のシリコン製サブ波長構造で構成される透過型メタマテリアルを新たに開発した。透過型メタマテリアルを用いた透過型の偏向制御板により、偏向器の裏側の狙いの方向へ電波を届けることができる。屈折率を人工的に精密制御して空間配置する実効屈折率分布制御に基づき、テラヘルツ波の方向を自由に変えることができるテラヘルツ波偏向器を開発した。

同偏向器は、広角の走査と高い電力効率を実現している。今回開発した透過型メタマテリアルは、半導体微細加工技術を用いるため小型で量産性にも優れる。

製作した透過型メタマテリアルの光学顕微鏡写真

今回開発した透過型偏向器と従来の反射型偏向器を上手く空間配置することで、6G通信において電波障害が発生するエリアがより少なくなることが期待できる。また、同技術はテラヘルツ波スキャナやイメージングなどにも応用が期待でき、さらに、医療、バイオ、農業、環境、セキュリティなどさまざまな分野での応用も期待できるという。

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次世代通信「6G」向け電波偏向制御技術を開発 -… | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-

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