米雇用情勢は2024年も売り手市場が継続――賃金上昇率がインフレ率を上回る

アメリカの給与比較サイトPayScaleは、労働市場における2023年のレポートと2024年の見通しを発表した。求人数は2022年から2023年にかけて減少しているものの、2024年も引き続き人手不足から売り手市場が続く見通しだとしている。

アメリカにおける2023年の労働市場は依然として求人数が採用数を上回っており、解雇者やレイオフの数も過去の平均を下回った。ビジネスリーダーや銀行は不況により買い手市場になることを望んでいるが、リタイアの増加や出生率の低下に伴って労働参加率は低下し続けると予想され、人手不足は深刻だ。加えて、自主的な離職者が急増した大退職時代(Great Resignation)は2023年には収束したものの、その精神は労働者の中で根強く残っており、給与透明化法(pay transparency laws)の広まりで他企業との比較が簡単になったこともあり、労働者は給与や福利厚生に妥協しない傾向にある。これを象徴するように、ブルーカラーの労働者においては三大自動車大手「ビッグ3」などを筆頭に積極的にストライキが行われた。

このような2023年の状況を背景に、Payscaleは2024年も賃金上昇が続くと見ており、上昇率を3.8%と予想する。国際通貨基金(International Monetary Fund: IMF)は2024年の米国のインフレ率を2.8%と予想しているため、2020年以来初めて賃金上昇率がインフレ率を上回るという見立てだ。

また、2023年の賃金上昇率18%以上を記録した需要が高かった職種トップ10には、美容師、配管工、自動車修理業者、ジョブコーチ、音響・映像技術者、アニメーター、フィットネスコーチなど自営業やフリーランスである可能性が高い職業が多くランクインした。Payscaleは人々の働き方や仕事への考え方に大きな影響を与えたコロナ禍や大退職時代を経て、柔軟性が高い自営業の人気が高まっているのだと考察している。

関連情報

Top 10 In-Demand Jobs by Wage Growth in 2023 | End of Year Job Market Report

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