超イオン伝導性電解液を用いたリチウムイオン電池の実証に成功 旭化成

旭化成は2024年6月7日、独自に開発した超イオン伝導性電解液を使用したリチウムイオン電池(LIB)による概念実証(PoC)に成功したと発表した。この電解液を用いることで、現在のLIBに求められていた「低温下での出力向上」と「高温下での耐久性向上」の両立を実現。電解液が実用化されれば、電動自動車の搭載電池の削減や電極の厚膜化による電池の容量アップ、低コスト化などにつながる。

開発した電解液は、溶媒にアセトニトリルを含んでおり、既存の電解液では実現困難な高いイオン伝導性を持っている。さらに同社独自の電解液組成調合技術や、電極と電解液の界面制御技術によって、低温下での出力向上と高温下での耐久性向上を実現した。

実用化に向けて行われた今回のPoCは、リン酸鉄(LFP)系円筒電池で実施。その結果、マイナス40℃の極低温でも高い出力で動作し、60℃の高温でも高い充放電サイクル耐久性を保つことを確認した。

LIBは、一般的には10~45℃程度の温度範囲内での使用が推奨されているが、近年、電動モビリティや電力貯蔵システムの多様化などLIBの需要拡大にともない、低温や高温下で使用するニーズが高まっている。しかし、低温下では電池容量や出力が低下し、充電時間が長くなるという問題があり、高温下では電池の劣化が加速され、寿命が短くなるという課題があった。

同社では課題を解決するために、アセトニトリルの高い誘電率と安定性に着目し、同社名誉フェローで、ノーベル化学賞受賞者の吉野彰氏の研究室で、2010年から電解液の研究開発を進めていた。今後、自動車メーカーやLIBメーカーと連携し、2025年の実用化を目指す。

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リチウムイオン電池用超イオン伝導性電解液のPoCに成功、実用化に前進 | 2024年度 | ニュース | 旭化成株式会社

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