日本電信電話(NTT)は2024年7月26日、VRゴーグルや3Dグラスを装着せずに、バーチャルキャラクターが鏡から飛び出したように見える技術を世界で初めて開発したと発表した。博物館などの文化施設や、イベントなどのエンターテインメントでの活用を目指し、同月28日から米コロラド州で開催される世界最大のCG国際コンベンションSIGGRAPH2024 Emerging Technologiesで展示される。
ゴーグルやグラスなどを使わずに立体画像を見せる技術では、半透明の鏡の裏にディスプレイを設置して鏡の中に情報を表示するミラーディスプレイや、空間に映像を映し出す空中像技術も研究されている。今回、NTTが開発した技術は、鏡の中と外をデジタル情報が移動でき、バーチャルキャラクターが鏡を自由に出入りしているように見える。この技術を、同社は「超鏡空中像表示システム」と名付けた。
同システムでは、光源となるディスプレイからの出射光はハーフミラーで反射された後、再帰反射材で再帰反射され、この光がハーフミラーを透過して空間中に空中像として結像される。ディスプレイには移動機構があり、空中像の奥行位置を中央のハーフミラーをはさんで前後させることで、空中像が鏡の中と外を連続的に行き来するような映像を見せられる。また、ハーフミラーを三面鏡のように配置することで、空中像を視聴できる範囲を拡大した。
また、鏡の中の空中像にも手を近づけられるような、直感的な操作が可能になる手法も考案。実際のユーザーの手の位置座標をセンサーで取得し、鏡に映った手の座標を算出して空中像を操作することで、手を近づけたり離したりするような感覚を得られるようにした。
同社は今後、立体感の向上や高画質化に向けた研究開発を進め、博物館などの文化施設でのイベントやエンターテインメントの演出などでの映像視聴体験の創出を目指す。
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世界初、VRゴーグルや3Dグラスを装着せずにバーチャルキャラクタが鏡から飛び出す超鏡空中像表示システムを開発 | ニュースリリース | NTT