ストレッチャブルエレクトロニクスの大規模生産技術を開発 横浜国立大学

横浜国立大学の太田裕貴准教授らの研究グループは2024年6月20日、連続的な加工ができるRoll to Roll(R2R)生産方式を基礎に、ストレッチャブルエレクトロニクスの大規模生産技術を開発したと発表した。電極に液体金属を使用しており、マニュアル生産で構築したデバイスと変わらないデバイス伸縮性やデバイス電気的安定性を達成している。

連続的な印刷工程を強みとしているR2Rプロセスを用いて、従来の小型ストレッチャブルデバイスのバッチ生産や、マニュアル製造では困難だった大面積デバイスを生産できる。

従来のストレッチャブルエレクトロニクスでのデバイス生産は、1プロセスで1つの小型デバイスしか作製できないため、R2Rプロセスを基礎とした製造プロセスを開発し、大型加工に基づいたデバイスの大量生産に対応している。作製したデバイスは、従来デバイスと同等の伸縮性と伸縮時の安定性を有する。

実験では、ストレッチャブル基板作製のためにR2R生産プロセスを用い、中間層としてポリジメチルシロキサン(PDMS)のパターニングを、柔軟材料のEco-flex上に実施。その上に、連続的にエポキシ樹脂を硬層として塗工している。硬さの違う3種類のエラストマー材料を用いたことで、ストレッチャブルデバイスを伸縮させた際に、固体チップ周りの変形を抑制、保護できる。

次に、ディスペンサーを用い、作製した基板上に液体金属配線を作製した。液体金属は基板の伸縮に対して高い追従性があることに加え、通常時だけでなく伸縮時にも低い抵抗値変化を示す。デバイス機能の高い安定性は、これにより達成できた。

R2Rプロセスでバッチ生産されたデバイス (左) 1プロセスで15デバイスを作製した画像。(中央)デバイスで使用したフレキシブル基板とバッテリーの画像。フォトトランジスタ素子と液体金属の接触部分の画像。(右)作製したデバイスの0%と70%伸縮時の画像。

バッチ生産されたデバイスの安定性 (左)伸縮時のフォトトランジスタにかかる電圧変化の測定結果。(右)伸縮時のフレキシブル基板に接続された液体金属線幅の安定性。

伸縮性を持つゴム材料や導電性材料を用いたストレッチャブルエレクトロニクス分野は、技術の普及が求められており、連続的な生産技術の開発が課題となっていた。

開発した技術は、生産技術開発の基礎となり、ストレッチャブルエレクトロニクス分野の市場導入へとつながることが期待できる。

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