太陽光と水から水素を製造する高効率光触媒を開発

米オレゴン州立大学は2024年7月25日、同大学の研究チームが太陽光と水から水素を高効率に製造する光触媒を開発したと発表した。同触媒は、自動車の燃料電池やアンモニアを含む多くの化学物質、金属、プラスチックの製造などに使用できるという。

同触媒は、金属有機構造体(Metal Organic Frameworks:MOF)と呼ばれる、正電荷を帯びた金属イオンの周囲を有機分子が架橋したナノサイズの多孔質構造を持つ。同触媒には、酸化ルテニウムと酸化チタンという相補的な性質を持つ2つの物質が使用され、太陽光を照射すると水を効率的に水素に分解する。

研究チームは酸化物の量を変えた複数の触媒の性能を評価した結果、酸化ルテニウム含有量が最も少ない触媒が最も水素を発生し、わずか1時間で1g当たり10.7ミリモルの水素を発生することが分かった。MOFの構造と金属酸化物の特性との相乗効果により、光から水素を発生する量子効率は10%に達した。

同光触媒を使用した実用的な水素製造は、天然ガスから合成する従来の水素製造法と比べて、二酸化炭素の排出を削減でき、持続可能なエネルギーの発展に貢献する。持続可能なエネルギーが市場で競争力を持つために重要な価格については、光触媒による水素製造の方が数倍高いのが現状だ。

オレゴン州立大学のKyriakos Stylianou助教は、「水は豊富な水素源であり、光触媒は地球の豊富な太陽光エネルギーを水素製造に利用する方法を提供します。酸化ルテニウムは高価な金属ですが、われわれの触媒に使用する量は最小限であり、同触媒が優れた安定性と再現性を産業用途で示せれば、少量の酸化ルテニウムのコストは問題にならなくなります」と説明した。

同研究成果は2024年7月10日、「Angewandte Chemie」誌に掲載された。

関連情報

Oregon State University research uncovers better way to produce green hydrogen | Oregon State University

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