バッテリーの新しいリサイクル方法を開発――金属回収率98%を達成 米ライス大

米ライス大学の研究チームは、バッテリー廃棄物から精製された活物質を抽出する新しい方法を開発した。「フラッシュ・リサイクリング(flash recycling)」と名付けられたこの方法は、貴重なバッテリー材料の効果的な分離やリサイクルを低コストで促進し、電気自動車(EV)のより環境に優しい生産に貢献する可能性がある。研究成果は、2024年7月24日付で『Nature Communications』に掲載された。

バッテリー廃棄物が蓄積し続け、バッテリー用の金属資源が徐々に枯渇しているため、寿命が尽きたリチウムイオン電池の効果的なリサイクルは不可欠だ。特に、バッテリーを搭載するEVの利用が急増しており、バッテリーの持続可能なリサイクル方法の開発が急務となっている。従来のバッテリーリサイクル技術は、エネルギーを大量に消費する熱処理や化学処理によってバッテリーの材料や廃液を処理するが、コストがかかり環境にも大きな影響を及ぼす。

研究チームは、リチウムイオン電池を効率的にリサイクルするという環境問題に取り組んでおり、無溶媒の「フラッシュ・ジュール加熱(Flash Joule Heating:FJH)法」と磁気分離を組み合わせることで、使用済みバッテリー材料の分離と精製が容易になると考えた。

FJH法は、適度な抵抗を持つ材料に電流を流して急速に加熱し、材料を異なる物質に変換するというものだ。FJHにより、バッテリー廃棄物を数秒で2500ケルビン(約2227℃)まで加熱して、磁性シェルと安定したコア構造を生成し、磁気分離により効率的な精製ができるようになった。

この処理プロセスでは、一般的にEVで使われているバッテリーのコバルトカソードが外側のスピネル酸化コバルト層で磁性を示し、容易に分離できるようになった。バッテリー構造を維持しながら、98%という高い金属回収率を達成できたという。

さらに、FJH後のカソードは無傷で安定したコア構造を保っていることから、新しいカソードへの再構成が実現する可能性があることを示している。再リチウム化されたカソードをリチウムイオン電池に使用すると、新品の市販品と同等の優れた電気化学性能を示すという。

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