極低温水素電気推進システムを開発する10億円規模の研究プログラムを始動――ネット・ゼロ航空を目指す

英ノッティンガム大学は2024年8月7日、極低温水素電気推進システムの開発、製造、試験を支援する530万ポンド(約9億9000万円)の研究プログラムを開始したと発表した。持続可能なネット・ゼロ航空旅行の実現を目指す。

この研究は、英GKN Aerospaceが主導し、英Parker Meggitt、英マンチェスター大学、ノッティンガム大学と提携して実施する総額4400万ポンド(約82億4000万円)の先駆的プロジェクト「H2FlyGHT」の一環だ。これは、民間航空宇宙研究に投資する英Aerospace Technology Institute(ATI)のプログラムを通じて、英国政府からの支援を受けている。

このH2FlyGHT共同プロジェクトは、2MW級の極低温水素電気推進システムを構築することを目指している。また、燃料電池発電、極低温配電、高度な極低温駆動システムを含む、2MW規模の統合推進システムを実証する予定だ。

ノッティンガム大学では、パワーエレクトロニクス・機械・制御(PEMC)研究グループが、高出力で効率的な推進システムの開発に不可欠なモーターの設計とスケールアップ、極低温インバーター技術の開発をサポートすることになる。

研究は、ノッティンガム大学内に新設された水素推進システム施設で実施される。この施設は、電気システムの効率を高める低温ループのための極低温研究室、システム統合研究室、メガワット燃料電池をバッテリーや電気モーターシステムとともにテストできる、高所環境チャンバーを備える。

これらは、設計と運用性能を最適化するデジタル結合研究室に接続される。また、この施設は世界有数の電動化技術研究グループを擁するPower Electronics and Machines Centre(PEMC)に隣接しており、20MW以上の高出力試験能力を活用可能だ。

プロジェクトでは、次世代の持続可能な大型航空機のための新たな基準を確立し、航空産業の脱炭素化を進める予定だという。

関連情報

News – University of Nottingham launches £5.3 million programme to enable cryogenic hydrogen-electric propulsion flight – University of Nottingham

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