脳血流量を検出するインイヤー型ウェアラブルデバイス――失神を予測

米スタートアップのSTAT Healthは2023年6月13日、頭部への血流量を24時間365日測定するインイヤー型ウェアラブルデバイス「STAT」を発表した。現在、予約注文が開始されている。

新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(Long COVID)、起立性頻脈症候群(POTS)、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)、その他の起立性症候群などの病気を、1300万人以上のアメリカ人が患っているという。これらの病気では、めまい、ブレインフォグ、頭痛、失神、疲労感などの症状が起立時に起こる。

これまでの研究で、超音波で測定される脳血流量(CBF)が、これらの「見えない病気」のうち多くのものの存在と重症度を客観的に測定する、重要なバイオマーカーであると実証されている。しかし、脳血流量を測定するのは容易ではなかった。

STATは、超音波の代わりに光センサーを用いて、ウェアラブルな形状にしたデバイスだ。浅い耳の動脈を利用して、超音波で得られる脳血流量の代用値を測定する。

STATには加速度センサーなども搭載されており、ユーザーのあらゆる起立を自動検出し、それに応じて心拍数、血圧傾向、頭部への血流量がどのように変化するかを追跡する。耳は脳と主要動脈に近い上に、腕の動きの影響もほとんどないため、これらの指標のモニタリングが可能となる。2023年3月の論文では、ジョンズ・ホプキンス大学でSTATの臨床試験を行い、失神が起こる数分前に予測できることを示した。

STATは非常に小型で、耳に常時装着することができ、イヤホンなどその他の耳に装着するデバイスの90%以上と同時に使用可能となっている。睡眠中やシャワー中も外す必要はない。また、耳に装着したまま太陽光で充電もできる。

STATは、先に挙げた症状をよりよく理解するのに役立つ。さらに、STATがユーザーについて学習することで、水分や塩分の摂取、リハビリのペース配分など、パーソナライズされたコーチングを提供する予定だという。

関連情報

STAT Health Introduces First In-Ear Wearable to Measure Blood Flow to the Head for Long COVID, POTS and Other Related Syndromes

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る