- 2024-10-9
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- IQ, やる気, ロンドン大学, 学力, 学業成績, 環境的要素, 自制心, 認知能力, 遺伝子的要素, 非認知能力(non-cognitive skills)
英ロンドン大学は2024年8月26日、学業成績と「非認知能力(non-cognitive skills)」についての研究結果を発表した。非認知能力は学力やIQなどの「認知能力」と反対に、やる気や自制心などの数値化しにくい内面的なスキルのことを指すが、認知能力とともに非認知能力を育成することで、成績が大幅に向上する可能性があるという。
研究者らはイングランドおよびウェールズの7~16歳の子ども1万人以上を対象に調査を実施した。遺伝子配列が100%一致する一卵性双生児と平均50%一致する二卵性双生児における、それぞれの特性の相関性を比較する双生児法を用いて、非認知能力を左右する要因を遺伝的要素と環境的要素に分けて分析した。
その結果、特に遺伝子的要素が学業成績に与える影響が高く、年齢を重ねるにつれ増加し、7~16歳の間にその影響はほぼ2倍になることがわかった。研究の著者のひとりであるAndrea Allegrini博士は「義務教育の終わる頃には、非認知能力に関する遺伝素質は学業成績を予測する上で、認知能力に関する遺伝素質と同じくらい重要になった」と説明した。ただ、環境的要素の影響も軽視できず、遺伝子と環境両方の影響を受ける感情的/行動的性質が子どもの教育過程で重要な役割を果たしているという。
今回非認知能力の重要性が明らかになったことにより、研究者らは教育機関などが学習と並行して生徒の感情的および社会的発達を支援することを期待しているという。Allegrini博士と研究を主導したMargherita Malanchini博士は、従来の教育システムが認知能力に偏っていることを指摘し、そのバランスを見直し、非認知能力の育成も重要視すべきだとコメントした。なお、研究論文は『Nature Human Behaviour』誌に掲載されている。
関連情報
Non-cognitive skills: the hidden key to academic success – Queen Mary University of London