- 2020-9-24
- 制御・IT系, 技術ニュース, 海外ニュース
- Cバンド, IEEE Photonics Technology Letters, KDDI総合研究所, Lidia Galdino, Lバンド, Sバンド, Xtera, シャノン限界, シングルモードファイバー, ネットワーク転送速度, ロンドン大学, 光ファイバー, 新型コロナウイルス
ロンドン大学は2020年8月19日、XteraやKDDI総合研究所と共同で、ネットワーク転送速度の世界記録となる178テラビット/秒を達成したと発表した。データ転送速度の理論的な限界値「シャノン限界」に近く、動画配信サービスの全ライブラリが1秒以内にダウンロードできる速さだ。研究結果は『IEEE Photonics Technology Letters』に掲載されている。
一般的な光通信が4.5THzの帯域幅を利用するのに対して、研究チームはSバンド、Cバンド、Lバンドと呼ばれる帯域を同時利用することで、16.8THzの広い帯域幅を確保した。さまざまな増幅技術を組み合わせた高性能のアンプや、それぞれの波長特性の最適化技術によって、シングルモードファイバーで178Tbpsの転送速度を記録した。
今ある設備が使えるのも利点だ。既存の光ファイバールートに高性能アンプを40~100km間隔で設置すればアップグレード可能で、新規に光ファイバーを敷設するよりもかなりコストが抑えられる。
コロナ禍においてインターネットの利用は増えているが、研究チームを率いるLidia Galdino氏は「新型コロナウイルスの流行とは関係なく、インターネットトラフィックは過去10年間で指数関数的に増加している」と指摘する。低コストの高速データ転送は将来、人々の生活を変えるかもしれない。