- 2024-11-15
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- Science Tokyo, 三菱電機, 低温排熱, 感温性高分子, 感温性高分子ゲル, 排熱, 東京工業大学, 東京科学大学, 構造相転移反応, 研究, 蓄熱密度, 蓄熱材, 連成反応, 高分子ゲル
三菱電機は2024年11月14日、東京科学大学(以下、Science Tokyo)と共同で、水を主成分とする感温性の高分子ゲルを利用して、30℃~60℃の低温の熱を、世界最高の蓄熱密度となる562kJ/Lで蓄えられる蓄熱材を発表した。大気中に廃棄されていた低温排熱の回収/再利用に有効で、化石燃料の消費量削減に貢献する。
排熱の有効活用を図るには、特に80℃以下の低温排熱を高密度(333kJ/L以上)に蓄えられる、安価な材料を用いた蓄熱材が求められている。しかし、一般的に蓄熱密度は、蓄熱温度が低下するほど減少するため、これまでほとんど開発されていなかった。
同社は、独自に開発してきた分子シミュレーション技術を活用し、感温性高分子の組成と構造を検討した。その結果、水を主成分とし、温度で高分子の形が変わり、温めると高分子混雑環境を形成する感温性の高分子ゲルを設計/開発した。
感温性高分子ゲルが持つ、温度で親水性と疎水性に変化する構造相転移反応と、水分子間の水素結合反応を組み合わせた連成反応による水分子の高エネルギー化を利用し、低温の熱でも高密度に蓄熱できることを世界で初めて実証した。
この感温性高分子ゲルは、化学物質管理促進法の指定物質を使用しておらず、安全で安価な水(構成比6割~9割)と無毒で不燃性の感温性高分子で構成されているため、入手しやすく安心して使える。
同社とScience Tokyo(旧 東京工業大学)は2016年から共同で研究してきた。高い階層構造ポリマー合成技術を持つScience Tokyoにて合成原料の選定と合成反応経路の設計を実施し、三菱電機はラボレベルで感温性高分子ゲルを合成、評価し、60℃以下の低い蓄熱温度で、従来市販品の2倍以上となる世界最高の蓄熱密度を達成した。
また、Science Tokyoが開発した合成反応制御技術により、感温性高分子ゲルの均質化を達成した。大量合成試作でもラボレベルと同等の蓄熱密度を有する試作品の製作に成功している。
開発した蓄熱材は、廃棄されていた低温排熱の回収/再利用を推進し、省エネルギー化や脱炭素化によるカーボンニュートラル社会の実現に貢献する。研究チームは今後、感温性高分子ゲルの蓄熱温度範囲の拡大に取り組んでいく。