Little Hopper | 大人から子どもまでプログラミング+ファブ能力を育む場(神奈川県横浜市)

日本全国のfabスペースを紹介するfabなび。今回紹介するのは神奈川県横浜市にある「Little Hopper」。技術やものづくりの楽しさを次世代に伝えたいという思いから始まったファブ施設だ。ものづくりを通じて人を育むコンセプトで、地域社会に貢献する施設を取材した。

子育てしやすい地域にできた、ものづくりスクール

Little Hopperはセンター北駅近くの商業施設「ヨツバコ」内にある。近隣からのアクセスも良く、夏休みや冬休みには都心からワークショップに通う子どももいるという

Little Hopperは横浜市営地下鉄のセンター北駅そばの商業施設内にある。周辺は閑静な住宅地で、横浜市の中でも都筑区は子育てのしやすい地域として知られる。代表の任遠(れんゆあん)さんも、自身の子どもが産まれたのをきっかけに引っ越してきた。

任さんは大学卒業後に大手の重工業メーカーに就職。転勤をしながら働く中で、子どもが産まれたのを機にファブ施設の立ち上げを考えるようになった。

「最初はプログラミングや3Dプリンターで、子どもと遊べないかと思ったのが始まりでした」と話す。

自身の子どもと同じように、ものづくりを楽しむ子どもたちに向けた本格的な教室へと展開。メーカーを退職すると同時に、転勤で5年近く住んだ京都から横浜市都筑区へと引っ越し、センター北駅近くにLittle Hopperをオープンさせた。

施設には、3Dプリンターやレーザーカッター、UVプリンターなどの機材がそろっており、デジタルファブリケーションやプログラミングのスキルを学べる。「子どもたちが自分の手で何かを作り上げる体験を通して自信をつけるのと同時に、論理的思考力を育てたい」という任さんの思いが反映されている。

Little Hopperでは、プログラミングとデジタルファブリケーションという2つの分野でカリキュラムを提供している。プログラミングでは、最初にブロックを使った基礎的な学びから始まり、Pythonを用いた機械学習やWebアプリ開発などの高度なスキルへと進む。また、デジタルファブリケーションでは、子ども向けのモデリングソフトから始まり、3Dプリンターやレーザーカッターを活用。最終的にはAutodesk Fusionを使った3Dモデリングなど、実践的なものづくりが学べる。現在は小学生から高校生まで約70名が通い、3〜4年ほどでPythonでのプログラミングやFusionでの設計までできるようになった生徒もいるという。

「生徒の中には、スクールで身に付けたスキルを使ってプロジェクトを形にする子もいます。地元のマルシェイベントでは、子どもたちが自らの作品に値段をつけ、販売を経験する場も設けています」(任さん)

任さんはものづくりが仕事につながることや、自分で考えたものを人に提供する喜びを体験してほしいと語る。

地域に溶け込むファブ施設を目指して

教室に通う子どもたちは1人1台ロボットを製作することで、プログラミングやデジタルファブリケーション、工作のスキルを学ぶ。使用しているキットはMakeblockのmBot

Little Hopperは基本的には子ども向けの教室だが、教室が行われていない時間帯は大人も利用可能だ。作業のサポートや受託制作を行うなど、利用のハードルを下げる工夫がされている。初めてデジタルファブリケーションに触れる大人に対しても、ものづくりのハードルを徹底的に下げたいというのが任さんの考えだ。地元企業からノベルティ制作を請け負ったり、飲食店で使用するグラスにロゴを彫刻したりといった加工にも対応する。

Little Hopperは今後も、子どもたちにとっての「わくわくできる基地」であり続けたいと任さんは話す。将来的には3Dプリンターやレーザーカッターが一般家庭にも普及する日が来ると予想し、「そのときに備えて、ここで楽しくものづくりの基礎を学べる場所にしたい」と抱負を語った。

さらに、「ものづくりが好きな子どもたちにとって、安心して集まれる場所にしたい」との考えから、横浜子ども支援協議会にも参加し、学校に通いづらい子どもたちに向けた活動も視野に入れている。

「こうした体験は、偏差値や試験では測れない大切な力を育むと思います。ものづくりを通じて自分の考えを形にする力、そして問題解決力を養うことが、子どもたちの将来に大きく役立つと信じています」

Little Hopperは、単なる学習の場ではなく、ものづくりが人を育てる可能性を追求する拠点として、今後もその役割を果たし続けるだろう。

Little Hopperを運営する代表の任遠さん(右)とCMOの三浦直樹さん。任さんは中国出身で、5歳から日本に移住。任さんと三浦さんとは中学の同級生で、大学では同じ研究室に所属していたという旧知の仲。任さんのお母さんによる中国語講座も開催している

概要

所在地

神奈川県横浜市都筑区中川中央1-1-5 ヨツバコ6F

営業時間

火・水・木・金/10:00~19:00、土・日・祝/10:00~20:00

URL

https://fab.lilhopper.com/

料金

【子ども向け教室】https://www.lilhopper.com
入会金 1万6500円
レッスン料 月2回 1万1880円〜、ロボットキット 1万3200円

【大人向け教室】https://fab.lilhopper.com/school/
入会金 1万1000円
レッスン料 月4回 1万6500円
ドロップイン利用 1時間4400円(材料費は別途)~

いずれも詳細はWebサイトから要問い合わせ

機材


3Dプリンター。主に使うのはBambu Lab製のフルカラー3Dプリンター

レーザーカッター(UNIVERSAL製)

ブラザー ネーム用刺しゅうミシン VR100

ミマキエンジニアリング UVプリンター UJF-3042HG

fabcrossより転載)

関連情報

Little Hopper | 大人から子どもまでプログラミング+ファブ能力を育む場(神奈川県横浜市)(掲載元: fabcross)


ライタープロフィール
越智 岳人
編集者/ライター
2013年、メイテック在籍時にfabcrossの立ち上げに携わる。以降、編集者、ライターとしてハードウェア・スタートアップやMakerへの取材、広告企画などを担当。
2017年に独立。現在はテクノロジー分野の編集・執筆活動を中心としつつ、スタートアップとの協業や育成に関わる企業のコンサルティングにも携わる。
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