- 2018-5-1
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- OIST, ペロブスカイト太陽電池, 沖縄科学技術大学院大学
沖縄科学技術大学院大学(OIST)は2018年4月27日、安定性とエネルギー変換効率に優れ、かつ安価な新型ペロブスカイト太陽電池を開発したと発表した。
ペロブスカイトとはカルシウム、チタン、酸素が特定の分子配列で構成された鉱物で、その結晶構造はペロブスカイト構造と呼ばれる。ペロブスカイト構造は光を効率的に吸収し、しかもシリコンよりもはるかに安価なので、太陽電池の集光活性層に適している。さらに、溶媒に溶かすこともできるので、基板上に直接スプレーでコーティングすることも可能だ。しかし現状、ペロブスカイトは不安定で、熱に曝されると劣化するため、商業化は困難とされている。
研究グループは今回、3つの特徴を持つ新たなペロブスカイト太陽電池を開発した。
1つ目の特徴は、熱に弱い有機材料を全て無機材料に置き換えたことだ。これにより、同太陽電池は、より安定的なものとなり、太陽光に300時間曝された後でも、ほとんど変化しなくなったという。
しかし、無機物からなるペロブスカイト太陽電池は、 有機物と無機物のハイブリッドのタイプよりも、光吸収率が低い傾向がある。そこで研究グループは、2つ目の特徴として、新型電池にマンガンを添加。材料の結晶構造に変化をもたらし、集光能力を高めた。
3つ目は、太陽電池から外部ワイヤーへ電流を輸送する電極を、通常の金ではなく、炭素にしたことだ。炭素の電極は、太陽電池の上に直接焼き付けできるため、安価に製造できるようになった。
一方で、ペロブスカイト太陽電池は耐用年数が1~2年程度で、シリコン太陽電池の20年に比べ短いなどの課題があるという。
研究グループは今後、新型太陽電池の効率と耐久性を改善し、実用化及び将来的な量産に向けた工程を開発していくとしている。