リチウムイオン電池の密度を3倍に、フッ化鉄をベースにしたカソード用新素材を開発

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

米ブルックヘブン国立研究所は2018年6月14日、リチウムイオン電池の電極(カソード)に用いる新素材を開発したと発表した。1000サイクルを超える可逆性と1g当たり420mAhの容量を確認しており、エネルギー密度が3倍にまで向上する可能性がある。

リチウムイオン電池にはアノードとカソードという電極があり、現在流通している電池のアノードの素材としてはグラファイトなどが使われている。アノード側の容量と比べて、カソードに使われる素材の容量は著しく劣っている。そこがボトルネックとなり、リチウムイオン電池のエネルギー密度を向上できずにいた。

従来のリチウムイオン電池ではインターカレーション反応を利用しているが、電子を1つずつしか移動できないため、カソードの容量が限られていた。一方、カソードにフッ化鉄のような化合物を使えば、コンバージョン反応という複雑な反応を経て複数の電子を移動させられるようになり、容量を増やすことができる。

しかしフッ化鉄には、ヒステリシスによってエネルギー効率が低い、反応速度が遅い、副反応によってサイクル寿命が短くなる――といった課題があった。

そこで研究チームは、化学的置換という処理を施してフッ化鉄のナノロッドにコバルトと酸素の原子を加えた新素材を合成した。フッ化鉄にリチウムイオンが入ると、鉄とフッ化リチウムが生成される。この反応は完全に可逆的なものではないのだが、コバルトと酸素を加えることで、反応の可逆性を高めることができるという。

研究チームは反応経路を調べるため、まずは透過電子顕微鏡(TEM)を使い、0.1nmの分解能でフッ化鉄ナノロッドを観察。カソードに含まれるナノ粒子の正確なサイズを計測した。次に、充放電時にはカソードの構造にどのような変化が起きるかと分析すると、コバルトと酸素を加えたナノロッドでは、反応速度が速くなることを確認できた。

続いて電池全体がどのように機能しているかを観察するため、NSLS-IIのX線粉末回折(XPD)ビームラインを利用。2体相関分布関数(PDF)法を用いて散乱光を分析したところ、コバルトと酸素を加えたナノロッドでは電気化学的な可逆性が促進されたという。

本研究は、米メリーランド大学、アメリカ陸軍研究所との共同研究。6月13日付の「Nature Communications」に論文が掲載された。

関連リンク

High energy-density and reversibility of iron fluoride cathode enabled via an intercalation-extrusion reaction
Tripling the Energy Storage of Lithium-Ion Batteries

関連記事

fabcross
meitec
next
ページ上部へ戻る