NASA、深宇宙探査用3Dプリント製ロケットノズルを作製

RPM Innovation

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、画期的な3Dプリンティング技術を使い、従来品よりも軽量で効率的なアルミニウム製のロケットエンジンノズルを作製した。この技術革新は、より多くのペイロードを搭載した深宇宙探査への道を開く可能性がある。

このロケットノズルは、NASAの宇宙技術ミッション本部(STMD:Space Technology Mission Directorate)が資金を提供する「Reactive Additive Manufacturing for the Fourth Industrial Revolution(RAMFIRE:第4次産業革命のための反応性積層造形)」プロジェクトの下で開発された。このプロジェクトは、高温/高圧に耐える軽量なアルミニウム製ロケットノズルを、3Dプリントによって製造することを目的としている。

アルミニウムは高強度で軽量な部品を作ることができるが、高温への耐性が低く、溶接時にクラックが入りやすいため、ロケットエンジン部品にはあまり使用されていないという。このプロジェクトでは、NASAはコロラド州のElementum 3Dと協力し、「A6061-RAM2」と呼ばれる新しいアルミニウム合金を開発した。そしてサウスダコタ州のRPM Innovationsが、A6061-RAM2と特殊な粉末を使い、レーザー粉末指向性エネルギー堆積法(LP-DED)によってこのロケットノズルを製造した。

ノズル内には内部流路が設けられており、ロケットエンジンの運転中に溶融しないように冷却される構造だ。従来のノズルは1000個もの部品を接合する必要があるが、3DプリントされるRAMFIREノズルは単一の製品であり、接合と製造に必要な時間が大幅に短縮できるため、数日で作成できるという。

このノズルは、液体酸素、液体水素、液体酸素と液体メタンの燃料を用いて、2023年夏にマーシャル宇宙飛行センターの東試験場でテストされた。ノズルは825psiを超える圧力に耐え、22回の始動と579秒(9.65分)の燃焼運転を完了した。

STMDの主任技術者であるJohn Vickers氏は、軽量であることはNASAの深宇宙ミッションにとって極めて重要であると述べた。そしてこのプロジェクトが、先端材料とともに積層造形技術を成熟させ、月、火星、そしてその先へのNASAの野心的なミッションのために、新しい推進システム、宇宙空間での製造、インフラを進化させる手助けになると付け加えた。

関連情報

NASA’s Innovative Rocket Nozzle Paves Way for Deep Space Missions – NASA

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