二酸化炭素を消費して発電するナノシートを開発

オーストラリア・クイーンズランド大学は2024年4月18日、同大学の研究チームが、二酸化炭素(CO2)を吸収して発電するナノシートを試作し、ナノ発電機の概念実証に成功したと発表した。同技術は、温室効果ガスを消費できるカーボン・マイナス技術であり、産業規模のCO2回収につながるという。

同研究成果は3月26日、『Nature Communications』3月26日号誌に掲載報告された。

開発した発電機は、CO2を吸収するポリアミンのゲルとイオンを発生する窒化ホウ素のナノシートから構成される。研究チームは、プラスイオンがマイナスイオンの大きさを上回るようにシート表面を設計した。大きさの異なるイオンが異なる速度で移動すると、拡散電流が発生して増幅するため、電力供給が可能になる。

同発電機は、水分90%のハイドロゲルに埋め込まれ、効率の高いイオン輸送による電力網を構築する。直径4cmのディスクと小さな長方形にカットされた後、CO2で満たされた密閉容器内で実験された。現時点で、ナノ発電機が回収できるのは、CO2が持つエネルギーの1%程度にとどまるが、研究チームは今後、効率向上とコスト削減に取り組む予定だ。

同発電機の将来性について、クイーンズランド大学のXiwang Zhang教授は、「もう少し大きなデバイスを作れば、大気中のCO2を利用してスマートフォンやノートパソコンの電力を供給できる、持ち運び可能な発電機になるでしょう。2つ目の応用として、本技術を工業的なCO2回収過程に統合することで、より大規模な発電が期待されます」と説明した。

関連情報

UQ turns CO2 into sustainable power – UQ News – The University of Queensland, Australia

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