- 2024-2-21
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2024年1月24日、スペインのコルドバ大学の研究チームが、マイクロ波を用いたプラズマ(電離気体)反応器を設計し、高濃度の染料を含む水の浄化に成功したと発表した
同研究成果は2023年11月29日、「Chemosphere」誌に掲載された。
気体に電磁波のエネルギーを伝えることで人工的に発生させるプラズマは、半導体産業において、シリコン基板上の集積回路作製に貢献している。研究チームは、水中の有機汚染物質を化学的に除去するためにプラズマを応用した。2017年の研究では、マイクロ波によって誘発したアルゴンプラズマが、水に適用した際に酸素と窒素を含む活性種の生成に有効であることを実証した。
今回の研究では、プラズマを維持するために、マイクロ波発生装置からのエネルギーをプラズマと混合する金属装置を再設計した。改良したプラズマ反応器を用いることで、大気圧条件下で、比較的高い割合の水分を含むプラズマを安定に維持でき、元のプラズマ反応器より大量の活性種を生成できるようなった。
プラズマによって生成する活性種は非常に反応性が高く、従来の方法とは異なり、プラズマは水中に直接導入されることなく水中の有機物を破壊できる。水とプラズマの間にある空間で、活性種と酸素、窒素、水分子の衝突がで反応が起こり、液体中に拡散して汚染物質を除去する反応種が生成される。同過程は、処理時間を短縮して効率的な汚染除去を可能にした。
研究チームの設計によるプラズマの浄水能力は、水中の高濃度メチレンブルー染料の除去によってテストされた。少ない処理時間で色素の完全除去が達成され、同手法の効率の高さが実証された。
同プラズマ技術は、マイクロチップの製造や表面の殺菌、傷の治癒、ガラスへの反射防止コーティング、種子の発芽改善、廃棄物の回収、プラスチック表面の活性化による塗料の密着性向上など、幅広い応用が期待できる。