触覚を遠隔デバイスに伝える技術を開発 産総研など研究グループ

産業技術総合研究所は2024年3月8日、東北大学や筑波大学、東北大学発AIスタートアップのAdansonsと共同で、極薄ハプティックMEMSによるハプティックデバイスを活用した、「双方向リモート触覚伝達システム」を開発したと発表した。このシステムを使えば、体で感じる振動を記憶して、他人と共有できるようになり、エンターテインメントや技術指導などに活用できる。

産総研は2021年にオムロンと共同で、振動によって皮膚感覚を再現するフィルム状の極薄ハプティックMEMSを開発。今回はこのハプティックフィルムを搭載したデバイスに、東北大学の「信号強調・変換技術(ISM)」、筑波大学の「非言語的行動・反応のデフォルメ生成技術」、Adansonsが開発した振動データの特徴抽出を行う「参照系AI」を組み合わせ、「人が感じられる全ての周波数帯域の振動を表現可能」で「伝えたい振動だけを強調できる」触覚共有システムを開発した。

指先で触れる操作や握手などの触覚情報を手首で計測し、相手側に伝えるなど、幅広い周波数帯域の触覚信号を体験できる。

「触覚技術」は既に、エンターテインメントとして盛んに利用されているが、スマートフォンや家庭用ゲーム機などに搭載されている従来のLRA型振動発生素子では、利用できる振動帯域が限られている。また、「体感振動計測」でも、これまでの技術では運動によるノイズや心臓の鼓動音などによる振動が含まれ、振動信号が不明瞭になってしまうという課題があった。

産総研などでは今後、技術の開発だけでなく、コンテンツの制作にも取り組んでいく。エンターテインメントだけでなく、スポーツ観戦をより楽しめる新たなコンテンツの開発や、手作業による加工技術の継承などを想定している。

技術の詳細は2024年3月8日~16日に米国オースティンで開催される、SXSW Conference & Festivals 2024で発表される(成果展示は3月10日~3月13日)。

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