- 2024-4-5
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中国科学技術大学の研究チームは2024年2月19日、マンガン金属蓄電池のための非水電解液を開発し、試作電池で実用性を示したと発表した。同研究成果は2024年1月31日に学術誌『Joule』に掲載された。
マンガン(Mn)は、空気中で安定であり、常温での取り扱いが可能かつ貯蔵できる。製造と貯蔵コストが金属アノードの中で最も低価格であり、価格当たりのエネルギー量も大きい。
しかしこれまでは、Mnイオンと溶媒の相互作用が強いため、可逆的なMn金属とMnイオンの電池反応による溶解/析出を保証する適切な電解液がなく、マンガン金属電池の開発は大きく制約されてきた。
研究チームは、塩素を中心としたハロゲン媒介非水電解質(HM-NAE)を開発した。可逆性の高いMnとMnイオンの溶解/析出反応を可能にし、電池反応における充放電効率と溶解/析出反応効率を高める上でのハロゲンを介する重要性を実証した。
開発した電解液HM-NAEは、セルでテストした結果、100%に近い充放電効率で1000時間以上安定したサイクル特性を示した。さらに、マンガンの溶解/析出反応効率は、表面容量が大きい場合でも96.8%という高い値を維持した。
さらに研究チームは、開発した電解液を用いたフルセルを試作し、600サイクル近く安定に充放電することを示した。
同研究は、充電可能な非水マンガン金属電池の開発を促進するだけでなく、他の多価金属電池への応用が期待できる。