超高効率な双方向型の直流電力変換器を開発 神戸大学など

神戸大学は2024年4月18日、台湾の中興大学と共同で、広い電圧変動に対応した、電力変換効率98%以上の双方向型の直流電力変換器(BDC)の開発に成功したと発表した。電力や交通、輸送、情報通信の分野で普及が進むDCマイクログリッドへの応用が期待される。研究成果は同年4月17日、国際学術論文誌『IEEE Transactions on Power Electronics』に掲載された。

発電所からの電力に依存することなく、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーとバッテリー(蓄電池)を組み合わせ、工場や事業所、商業施設などの電力を賄うマイクログリッドの実現には、電圧変動比が大きく確保でき、電流脈動も少ない双方電力変換器が不可欠だが、装置が大型化してしまうことや電力変換効率の低さなどが課題だった。

こうした課題を解決するため、研究グループはフローティング4相(F4P)と称する回路構造を採用するとともに、チャージポンプ(CP)の作用を利用して、広範囲な電圧変動にも対応できる電流脈動の少ない超高効率BDCを新たに考案した。

研究グループが電力容量1kW、動作周波数50kHzの試作器を作り、実験したところ、降圧比と昇圧比がともに従来回路に対して最大2倍まで範囲が拡大したほか、98%を超える電力変換効率を達成した。

また、半導体部品などからの発熱が少ないため、放熱システムの簡略化が可能で、片側が故障しても残りの1台で運転が継続できることも確認した。さらに、磁気回路部品の共通化ができるため、回路設計が容易になった。こうしたことから、幅広い電圧変動をともなうマイクログリッドシステムでも、高効率でシームレスな直流電力の融通が可能になる。

研究グループは、今回の装置開発によって、船舶、航空などの内部電源やデータセンターなどのサーバーへの給電装置にも活用できる、新たな双方直流電源の開発への道筋が立ったとしている。今回の試作機は3kW出力まで対応できるが、今後、実用化に向けて大規模化などの研究を進めていく。

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ワイドな電圧変動にも対応できる超高効率な双方向直流電力変換装置を開発 | 神戸大学ニュースサイト

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