東芝は2016年10月31日、シリコン系太陽電池を光起電力素子として用い、光で二酸化炭素をエチレングリコールに変換する光電気化学システムを開発したと発表した。
エチレングリコールは、PETボトルやポリエステル繊維・樹脂の原料にも使用できる汎用性の高い工業原料だ。東芝は今回、光でエチレングリコールを生成するシステムを作るために、電気化学的に二酸化炭素をエチレングリコールに変換する分子触媒を開発した。
同社が開発した分子触媒は、金属表面上にイミダゾリウム塩誘導体を高密度に吸着させている。金属表面に吸着したイミダゾリウム塩誘導体は、分子上で二酸化炭素分子と相互作用し、二酸化炭素の反応を促進。同時に、2電子還元反応よりも複雑な多電子還元反応の反応場としての役割を果たしているという。
この分子触媒を用いた光電気化学システムは、エネルギー変換効率0.48%を達成した。東芝は今後も開発を進め、2020年代の実用化を目指すとしている。