理化学研究所は2024年5月10日、大阪大学と共同で、スーパーコンピューター「富岳」と量子コンピューター「叡」を連携させて、計算処理時間を短縮するための実証に成功したと発表した。
計算原理の異なるスーパーコンピューターと量子コンピューターとで、それぞれ得意な計算領域を分担して処理できれば、計算処理の効率化が期待できる。これまでも1つのコンピューター内で汎用CPUとGPUを組み合わせ、一部の計算をGPUが処理することなどが行われてきた。同じように、スーパーコンピューターでは計算が困難な処理を量子コンピューターで行うことで、処理時間が短縮されることが期待される。
今回の研究では、動作環境の異なるスーパーコンピューターと量子コンピューターを連携させるため、叡のクラウドサービスを管理するサーバー上に、富岳からの計算をリクエストするソフトウェアを導入。このソフトウェアを富岳で動作するプログラムから呼び出すことで、両者を連携させた。
実証では、量子回路のクラスタリングのためのサンプルのうち、25回路を量子コンピューター側で処理する実験を実施。これらの処理は独立して実行しても問題ないため、プログラムを並列化して量子コンピューターへのリクエストを複数同時に行うようにした。
これにより両者の通信や、量子コンピューター側のリクエスト受付などに伴う遅延の発生が最小化され、両者を効率的に連携できることが分かった。なお今回の実証では、並列化数を5並列にすることで約30%処理を高速化できた。