環境負荷をかけない画期的な高純度リチウム抽出方法を考案

リチウムは、クリーンエネルギーに不可欠な元素であり、電気自動車や風力/太陽光発電の蓄電用バッテリーの製造に用いられる。しかし、リチウムの抽出コストは高く、二酸化炭素の排出や鉱物廃棄物、化学汚染、大量の水使用による水循環の変化など、環境への悪影響という問題もある。

オーストラリアのモナシュ大学からスピンアウトしたElectraLithは2024年8月12日、この問題を解決するため、水も化学薬品も使用せずに、最小限のエネルギーでバッテリーグレードの水酸化リチウムを産生する技術を開発したと発表した。電気膜と電気透析技術を活用した、直接リチウム抽出精製法(DLE-R : Direct Lithium Extraction and Refining)と呼ばれるこの技術は、スケーラブルでモジュール化された単一工程で構成されている。他の直接リチウム抽出法(DLE)では、塩化リチウム生産のためにより多くの処理工程とエネルギーが必要となる。

DLE-Rを用いたリチウム抽出の実証試験では、オーストラリアの探鉱会社Mandrake Resourcesがアメリカ・ユタ州パラドックス盆地でリチウム採掘プロジェクトを進めている地熱油田かん水から、純度99.9%の水酸化リチウムを生成することに成功した。また、60ppm以下のかん水からも水酸化リチウムを生成できることも確認された。このことは、これまで活用が不可能だった環境中のリチウムを利用できる可能性を示している。現在、Mandrake Resourcesは北米の最も乾燥した地域の一つでこの技術を導入する計画を立てている。

DLE-Rは、世界各地の塩湖かん水、地熱油田かん水、鉱石などさまざまなリチウム源から、バッテリーに使用できる品質の水酸化リチウムを生産することが可能だ。この技術は、リチウム生産にかかる経済的、環境的コストを削減するという世界的な課題を解決するかもしれない。

関連情報

Lithium extraction breakthrough a huge step towards a greener future – Monash University

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