室内の空気を浄化してスマホなどの電子機器に給電できる、人工発電植物を開発

Image Credit: Jonathan Cohen.

米ビンガムトン大学の研究者らは2024年10月4日、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出して発電する「人工発電植物」を開発したと発表した。

調査によれば、屋内の空気中の二酸化炭素レベルは、屋外よりも大幅に高い場合が多く、健康への懸念事項になっている。アメリカ人は平均して1日の約90%を室内で過ごしており、職場や学校、家庭内で吸う空気は健康だけでなく幸福感にも影響を与える。しかし、多くの空気清浄システムは高価で複雑で、頻繁な清掃やフィルター交換が必要だ。

研究者らは、バクテリアの力を利用したバイオバッテリーに関する研究を、この新しいシアノバクテリアによる人工発電植物に応用した。5種類の生物学的太陽電池と光合成細菌を使用して、5枚の葉を持つ人工植物を試作し、二酸化炭素の捕獲率と酸素生成能力をテストした。

開発した人工発電植物のテストで、室内の光で光合成を促進し、二酸化炭素を吸収して酸素を放出した。その結果、二酸化炭素レベルが5000ppmから500ppmへと90%削減された。これは、自然の植物で見られる10%の削減量をはるかに上回る結果となった。

また、この人工発電植物は、空気の質の改善に加えて、携帯電子機器への給電に十分な電気を生成する。各人工葉には、光合成中に電気を生成する5つの生物学的太陽電池が含まれる。水と栄養素の供給機構は天然の植物を模倣して、蒸散と毛細管現象によって供給される。このシステムは、2.7Vの開回路電圧と最大140µWの電力出力を生成する。

今後、最低出力1mW以上を達成すべく技術を向上させる。また、リチウムイオン電池やスーパーキャパシターなどのエネルギー貯蔵システムを統合し、携帯電話の充電をはじめとした実用的な用途を探索したいと研究者らは述べている。

その他の機能向上は、メンテナンスを最小限に抑える方法を開発することなどを目標にしている。例えば、長期的な生存を保証するために複数のバクテリア種を使用することや、水や栄養分の供給システムの確立などだ。

本研究の一部は海軍研究局からの支援を受けており、研究成果は学術誌『Advanced Sustainable Systems』に掲載されている。

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