金属を含まない回路基板――カーボンとカイガラムシでサステナブルな電子回路を作成

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Image: Empa

生鮮食品や医薬品などの流通過程において、製品を長期間モニタリングするためにセンサー技術を組み込んだスマートパッケージングは、今後も拡大していくと考えられている。世界中の研究者たちが、ロボットによる3Dプリント技術などを用いて電子回路を作る印刷技術の開発を進めてきた。しかし一方で、スマートパッケージングなどの新技術により、使い捨ての電子回路が増えるという新たな問題が浮上している。現在の3Dプリント技術ではインクに金属分子が含まれるため、使い捨ては貴重な資源を浪費し、環境問題となる可能性がある。

スイス連邦材料試験研究所(EMPA)の研究チームは、金属を含まず、毒性がなく、生分解性がある環境に優しいインクの開発を目指して、カーボンとシェラックを材料とした導電性インクを開発した。研究の詳細は、『Scientific Reports』誌に2021年12月10日付で公開されている。

研究チームは、新しいインクを開発するうえで、金属を含まないなどの環境に配慮した条件だけでなく、実用化を念頭に起き、成形しやすく湿度や熱にも安定であることも条件とした。導電材料には安価なカーボンを選択し、具体的には細長いグラファイトの板状粒子と、板状粒子と電気的に接触するカーボンブラックを混ぜ合わせたものを使用した。シェラックは、カイガラムシが分泌する虫体被覆物を原料とする樹脂状物質であり、石油由来のポリマーの代わりに導電性カーボン間の結合剤として利用している。

インクをノズルに詰まらせることなく印刷するには、通常は粘度の高いインクが印刷の瞬間にせん断応力を受けることで流動性が高まるという優れたせん断減粘性が求められる。そこで研究チームは、各材料の配合を最適化して、さまざまな2D、3Dプリントに利用できるインクのバリエーションを開発した。

実際に電子部品を作製できることを証明するために、開発したインクを用いて抵抗器とコンデンサーを印刷し、それぞれを変形センサーと近接センサーとして利用できることを確認している。

研究チームはすでに今回の技術に対して特許を取得しており、持続可能なプリンテッドエレクトロニクスへの応用に期待できるとしている。

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