金属微粒子の表面構造制御で、最大で約5倍の水素製造触媒活性を実現 東北大

東北大学は2024年10月25日、粒径1nm程度の極微細な金属ナノクラスター(NC)の表面構造を制御する合成手法を確立し、新たなナノ物質を電極触媒に用いることで、水素生成触媒活性を向上させることに成功したと発表した。従来の金白金(AuPt)合金ナノクラスター触媒と比較して、最大で5倍近い水素生成触媒活性を達成した。

水素をエネルギーとして活用するため、効率的な水素発生反応(HER)の方法が研究されている。しかし、現在利用されている最も効率的で耐久性のある電極触媒は、白金(Pt)のような高価な貴金属から作られた触媒で、金属量が少なく、高い活性を持つ触媒の開発が求められている。

今回、研究グループは、新たな幾何/電子構造を持つ2つのAuPt NCを作成し、HER触媒として用いることに成功した。

具体的には、前駆体として[Au24Pt(PET)18]0(PET = 2-phenylethanethiolate)を選択し、3通りの配位子交換反応でNCを合成した。1つ目は純度98%のTBBTH(TBBTH = 4-tert-butylbenzenethiol)を用いて[Au24Pt (TBBT) 18]0を合成。2つ目は純度97%のTBBTHを用いた[Au24Pt(TBBT)12(TDT)3]0(TDT = SCH2SCH2S)、3つ目は純度98%のTBBTHとPDTH2(PDTH2=1,3-propanedithiol)を用いた[Au24Pt(TBBT)12(PDT)3]0だった。[Au24Pt (TBBT) 18]0以外の2つは新たな金属NCで、結晶構造を解析した結果、3つとも同様のコア構造を有する一方、ステープル構造(表面構造)が異なっていることを確認した。

さらに、それぞれの金属NCを使ってHER活性を評価したところ、2つの新規金属NCはオンセット電位と電流密度を低下させ、HERを促進したことを示した。また、–0.35V vs. RHEの固定電位で、[Au24Pt(TBBT)12(TDT)3]0と[Au24Pt(TBBT)12(PDT)3]0の質量活性は、[Au24Pt (TBBT) 18]0と比較し、それぞれ3.5倍、4.9倍向上した。

これは、金属コア表面への水素イオンの吸着を促進するような幾何構造を作り出すことで、触媒の高活性化を実現できたからだと考えられる。

金属NCは、HERだけではなく、酸素還元反応や二酸化炭素還元反応をはじめとする多くの触媒反応に適用が可能で、研究グループは「パラジウムや銅などさまざまな異種金属ドーピングと今回の手法を組み合わせることで、幅広い新規機能性材料を作り出せる」と期待を寄せている。

研究成果は、10月15日公開の「Journal of the American Chemical Society」誌に掲載された。

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金属微粒子の表面構造制御で最大5倍近い水素製造触媒… | プレスリリース・研究成果 | 東北大学 -TOHOKU UNIVERSITY-

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