常温/常圧のCO2ガス下で自己修復する気体可塑性シリコーンエラストマーを開発――プラスチック加工での消費エネルギー削減に期待 岐阜大

岐阜大学は2019年4月22日、CO2ガスですばやく自己修復する、世界初の気体可塑性シリコーンエラストマーを開発したと発表した。

エラストマーとは、ポリマー分子を架橋して得られるポリマー材料だ。ゴム弾性を示すことから、タイヤや輪ゴムなど広く利用されている。一方、自己修復性材料と呼ばれる、熱や光をトリガーに自己修復する材料が知られているが、加熱による製品への悪影響や製品内部に光を照射できないなどの問題があった。

そこで、研究グループは今回、室温で自然に傷が修復し、常温/常圧のCO2(二酸化炭素)ガスにさらすことで急速に自己修復する気体可塑性エラストマー(イオン架橋ポリジメチルシロキサン(PDMS)エラストマー)を開発した。

また、この自己修復のメカニズムについて、CO2がイオン凝集体に溶け込み、イオン凝集体による架橋が弱くなることで、架橋構造の組み替えが加速。それによって材料が軟化するために、CO2ガス中では急速に自己修復が進行すると説明している。

さらに、CO2ガスを利用することで、寒冷環境でも自己修復できることを確認。マイナス10℃では3日後に約50%、1週間後に90%ほど自己修復し、マイナス20℃であっても1週間後には50%ほどまで自己修復できるという。

このエラストマーは、CO2ガスで自己修復できるため、ウェアラブル端末やセンサー、人工皮膚、接着剤など、幅広い製品に応用できる可能性があるという。また、常圧/常温でプラスチックの可塑性を高められれば、プラスチック加工で消費するエネルギーを削減できる可能性もあるとしている。

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