- 2024-11-27
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スペインの光科学研究所は2024年10月23日、同研究所の研究チームが、環境に優しく単純な溶液プロセスと温和な条件の表面処理により作製できる、ナノ無機結晶ベースの超薄膜太陽電池を開発したと発表した。同超薄膜無機太陽電池は、従来手法の太陽電池に比べて最高の電力変換効率を記録した。
気候変動時代に当たる現在、太陽電池を含めた再生可能エネルギーが急速に普及している。そこで、ビルやインフラ、IoTシステム、自動車への電力供給を想定した、太陽光発電所だけにとどまらないさまざまな用途に使用できる太陽電池が期待されている。そのためには、軽量/柔軟で低コストの環境に優しい太陽電池技術が必要となる。
環境に優しい代替材料として有望視されているコロイド状硫化ビスマス銀(AgBiS2)ナノ結晶は、非常に高い光吸収係数を持ち、超薄膜太陽電池の吸収材として理想的だ。基板に単分子層を一層ずつ形成する交互積層法(Layer By Layer)の製造プロセスにより、優れた性能を持つ薄膜太陽電池がすでに報告されている。しかし、多くのステップを要する同製法は、費用と拡張性の面で課題を持つ。
単純な溶液プロセスによる薄膜太陽電池の製造には、シングルステップの成膜プロセスを可能にするナノ結晶インクの開発が必要だ。そのため、研究チームは、ナノ結晶を安定化させて溶液中に均一に分散させる多機能分子剤を導入し、AgBiS2ナノ結晶インクを合成した。
研究チームは、成膜後、温和な条件でアニール処理をして、ナノ結晶インク膜に存在する表面欠陥を効果的に低減し、電子の寿命と輸送特性の向上に成功した。その結果、同成膜手法で作製した超薄膜太陽電池は、電力変換効率10%を超え、環境に優しいAgBiS2ナノ結晶ベースの太陽電池の新記録を打ち立てた。
同研究成果は2024年10月9日、『Energy & Environmental Science』誌に掲載された。
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