年間数十億トンの二酸化炭素を海水から抽出、固体の鉱物にして永続的に貯留する手法

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UCLA Institute for Carbon Management

海水から二酸化炭素を抽出することで、毎年何十億トンもの二酸化炭素を大気中から取り除き回収する手法が提案された。この研究は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校によるもので、2021年1月12日付で『ACS Sustainable Chemistry & Engineering』に掲載された。

人間は年間370億トンの二酸化炭素を排出していると推定されている。気候変動を緩和するには、年間100億~200億トン程度の二酸化炭素を大気中から除去する必要があるが、現在の二酸化炭素回収の方策ではその目標を達成できそうにないようだ。

今回提案された技術は、大気中の二酸化炭素を直接回収するのではなく、海水から二酸化炭素を抽出するというものだ。このコンセプトは「シングルステップ炭素隔離貯留(single-step carbon sequestration and storage:sCS2)」と呼ばれる。

海水は、単位体積当たりで、大気の約150倍もの二酸化炭素を保持している。大気と海は平衡状態にあるため、海水から二酸化炭素を抽出すると、大気中の二酸化炭素が海水に溶け込む。海水は、いわば既に容量いっぱいまで二酸化炭素を吸収したスポンジのようなもので、sCS2プロセスは海水から二酸化炭素を「絞り出す」ことで、海水が大気中の二酸化炭素をより多く吸収できるようにすることを目的としている。

この技術は、原料を継続的に流路に流し込み流通(フロー)させながら反応物を生成するシステムであるフローリアクターを組み込んだものだ。海水はメッシュを通過することで電荷を帯び、アルカリ性になる。これがきっかけとなって一連の化学反応が始まり、最終的には、海水に溶けている二酸化炭素が海水に含まれているカルシウムやマグネシウムと結合し、貝殻の形成と同じプロセスによって、石灰石やマグネサイト(菱苦土石)が生成される。その結果、流れ出る海水は、水中に溶けていた二酸化炭素が減少し、より多くの二酸化炭素を吸収できる状態になる。また、この反応により、固体の鉱物以外の副産物としてクリーンな燃料である水素も生成される。

この手法の利点は、まず、数十億トン規模で実施できる可能性があるということだ。また、他のコンセプトでは大気中の二酸化炭素を貯留するために多段階の濃縮プロセスを経なければならないが、この手法ではシングルステップ(一段階)となっている。さらに、回収した二酸化炭素を地層に貯留するという計画もあるが、その場合、二酸化炭素が漏れ出て大気中に戻ってしまう危険性があるのに対し、sCS2では二酸化炭素を固体の鉱物として永続的に貯留できる。

研究チームは、このコンセプトを実現するために必要な材料やエネルギーの投入量とコスト、そして、副産物をどう処理すべきかを詳細に分析した。炭素問題の巨大さを考慮すると、当然のことだが、毎年100億トンの二酸化炭素を回収するには約1800基のsCS2プラントが必要で、そのコストは数兆ドルになると試算された。

しかし、研究チームは、たとえ小規模であっても、sCS2は炭素の回収貯留を前進させるものであり、気候変動に立ち向かう全体的戦略の中で見込みのある戦略として考慮されるべきだとしている。

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