- 2017-2-20
- 機械系, 海外ニュース
- Bat Bot, カリフォルニア工科大学, ドローン
米カリフォルニア工科大学は、コウモリの翼を模した機構で飛行するドローン「Bat Bot」を開発中だ。Bat Botは重さ93g、約300mmの翼でコウモリのように羽ばたいて自律飛行する。
コウモリのように飛行するロボットの開発に興味を持つ科学者やエンジニアはこれまでにもいたものの、開発する上でその複雑な翼の動きが大きな課題になってきた。
コウモリの筋骨格系は、実に40以上の回転軸を持つ。コウモリは肩・肘・手首・脚を、屈曲・伸展・捻転することで翼の形状を変化させながら飛行するのだ。
イリノイ大学と共同開発したBat Botの翼は、今までにない忠実さでコウモリの翼を再現した。再現する上で大きな技術課題となったのは、本物のコウモリが持つ羽ばたきながら変形する翼膜だった。ナイロンやマイラー樹脂のフィルムでは柔軟性が足りず、厚さ56μmという超薄型のシリコンベースの翼膜を独自開発することになった。
Bat Botが羽ばたくと、その柔軟な翼膜は空気をつかみ変形する。翼が下死点に到達したとき、翼膜は元の形に戻るとともにつかんでいた空気を押し出し、羽ばたきのパワーは増大する。この原理によって、Bat Botはエネルギー効率の面で現在の飛行ロボットを大幅に上回る可能性があるという。
さらに現在のドローンではローターを回して飛行するタイプが主流だが、人や物に衝突したときのことを考えると安全面に不安が残る。コウモリ型のデザインなら、人や物に衝突する恐れがある用途でも、より安全に運用できるのではないかと期待されている。