微小な人工血管をマイクロチップに構築——血管新生の三次元ライブ観察に成功

東京大学は2017年2月10日、血管から新しい血管が枝分かれし伸びる現象(血管新生)の三次元ライブ観察に成功したと発表した。微小な血管をマイクロチップ上に作製し、人工的に組み上げた血管組織の三次元的な構造変化の様子を、長い期間に渡って生きたまま観察することを可能にしたとしている。

血管新生は主に2種類ある。成長などに伴って生じる正常なものと、がんなどが原因で生じる病的なものだ。病的な血管新生の観察は、疾患の治療において非常に重要となる。そこで東京大学の研究グループは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製したマイクロデバイスの中に微小血管モデルを構築し、血管新生の三次元ライブ観察を試みた。

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今回の研究では、眼底検査などに利用される光干渉断層撮影法(OCT)を活用。これにより、新しい血管が伸びる際に中に空洞を作って成熟していく過程を、初めて直接観察することに成功した。このとき、10μmの解像度で長さ数mmの血管領域を数分で簡便に観察できたばかりか、微小血管の直径や容積も経時的に測定できたという。

研究グループが開発した技術は、三次元的な組織の構造を簡便に観察できる手法として、血管構造以外にもさまざまな臓器を可視化できる。そのため、三次元組織構造体を扱う再生医療や臓器チップなど、医療・創薬研究への幅広い利用が期待できる。

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