東北大学は2017年4月21日、同大学発ベンチャーのPiezo Studioが水晶振動子の約10分の1の時間で起動するランガサイト振動子を製品化したと発表した。
ランガサイト振動子は、正確なタイミングで電子機器を動かす信号を出すタイミングデバイスだ。現在使われている水晶振動子と比べて、十分な温度特性を持ちながら、起動時間を短縮。低周波化・小型化にも成功した。
例えば自動車の場合、車載カメラや自動運転に利用する各種センサーを常時起動しておくと、電力消費が増えて燃費が悪化してしまう。そこで不要なときには待機させ、必要になったときにだけ短時間で起動できるように、各所にタイミングデバイスを組み込んでいる。高級車になると、100個以上の振動子が搭載されているという。
ただし、待機状態から起動するまでの時間が長くかかると、データ衝突が多発して送受信で問題が出る恐れがある。従って、より短時間で起動できるタイミングデバイスの登場が望まれていた。
Piezo Studioは、東北大学金属材料研究所の吉川彰教授などが設立した大学発ベンチャー企業。東北大学ベンチャーパートナーズからの出資を生かし、今回、ランガサイト振動子を製品化した。今後も、医療用薬剤送達デバイス、バイオセンサ、次世代通信に関わるピエゾ素子も順次製品化していきたい考えだ。