島津製作所は2017年10月19日、樹脂基材に金属膜を形成する樹脂めっき工程で、前処理や下地層形成を真空下にて行える環境負荷を抑えた新技術を開発したと発表した。
軽量化やコスト削減などを目的に、さまざまな工業製品が、金属からめっき処理された樹脂に置き換わりつつある。しかし、従来の樹脂めっきは、前処理から下地層の形成までの工程で、環境負荷の原因となる六価クロムや高価な金属触媒を使用。有害な化学物質を極力使用しない技術が求められていた。
そこで同社は、立体プラスチック製品へ金属膜を成膜する高速スパッタリング装置を応用。高速スパッタリング装置の真空チャンバー内で、プラズマによる前処理後にスパッタリングによる下地層の形成を行う技術を開発した。この工程では、六価クロムや金属触媒を必要とせず、廃液も発生しない。そのため、環境負荷の低減だけでなく、ランニングコストも削減できる。また、多くの代替手段で課題となっていた下地層の密着性についても、従来手法と同等の密着性を確認している。さらに、射出成形機と高速スパッタリング装置の連携により、樹脂成形から下地層の形成までを自動化することも可能で、防湿や防汚による歩留まりも改善できる。
今後は、同技術を自動車内外装部品メーカーや家電メーカーに提案し、2020年までに本格展開するとしている。また、さらなる応用により、めっき処理が難しいとされる炭素繊維強化プラスチックなどへの金属膜成膜技術の開発も進めるとしている。