GSアライアンスは2021年3月16日、白色LED用のグラフェン量子ドット複合体材料を開発したと発表した。
同社は、440〜470nmの青色を発光するLED(冒頭の画像左)の上に、同社で合成している炭素系量子ドットやグラフェン系量子ドットを用いたシリカ複合材料を担持することで、今回の材料開発に成功した(冒頭の画像右)。
炭素系量子ドットやグラフェン系量子ドットは、比較的安価な有機物を原料としているため、大量生産時に既存のものより安価に白色LEDを生産することができる可能性がある。
従来白色LEDに多く用いられている青色LEDと補色の黄色蛍光体との組み合わせは、材料組成による一定の波長しか発光できず、発光波長の微調整が難しい点が課題となっている。これに対して量子ドットは、光を可視スペクトルのほぼ全ての色に変換できる点がメリットとなる。
また、可視光領域での透明度が高く光散乱が少ないため、既存のLEDと同じ消費電力でより明るくできる可能性があるほか、発光部分と青色発光源であるGaNとの距離が離れているため、GaNのダメージを低減しLEDを長寿命化できる可能性もある。
量子ドットは、直径0.5〜9nmの微細な構造体で、粒子サイズによってバンドギャップを調節できるため、サイズを変えることで発光波長を調整できる特長を有する。LEDや太陽電池、ディスプレイ、生体イメージングなどでの用途が期待されている。
同社は今後、今回開発した材料のサンプルワークや事業化などを国内外で展開していく計画を明らかにしている。