日本電気硝子は2017年11月8日、結晶化ガラスを正極材に用いた全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池を試作し、室温駆動に成功したと発表した。結晶化ガラスを正極材に用いた成功例は世界初だという。
今回同社がガラス開発技術を応用して試作した全固体Naイオン二次電池は、電池材料が全て無機酸化物で構成できるため、使用や製造時に発火したり有毒物質が発生する懸念がない。ガラスの軟化流動性を活用して固体電解質との一体化を図り、イオン伝導性を高めたことにより、室温で駆動できる。また固体電解質はイオン移動による劣化が小さく長寿命となっている。
構造はシンプルで、高電位系活物質を開発することにより高エネルギー密度の電池作製が期待できる。資源量の豊富なナトリウムを用いるため、希少金属であるリチウムと比較して供給面での不安もない。
現在高性能二次電池の主流となっている有機系電解液を用いたリチウム(Li)イオン二次電池は、リチウムの供給への懸念とともに、異常発熱による発火事例が報告されており、安全性面での課題がある。電解質に可燃物を使わない全固体Liイオン二次電池も研究されているが、電極と電解質間のイオン伝導性や大気中での安定性などが課題となって実用化には至っていない。