日立の高速鉄道がイギリスで初運転――2019年までに現地で2000人を雇用、鉄道関連の求人が活況に

日本が誇る新幹線技術は世界各国に輸出され、その国の鉄道を支えている。2017年10月16日、日立製作所、Hitachi Rail Europe(以下、HRE)が製造した都市間を結ぶ高速鉄道車両がイギリスで運転初日を迎えた。ブリストル・テンプル・ミーズ駅とロンドン・パディントン駅を結ぶ約1300kmの区間を走ることになる。

イギリスの鉄道会社であるグレート・ウェスタン鉄道は122両の車両をHREから受け取る予定だ。今回、HREが納入した新車両Class 800は、置き換えられた旧車両より座席空間が24%増加したという。

このHREの取り組みは2012年に始まる。HREは、英国の都市間高速鉄道計画(Intercity Express Programme:IEP)の正式契約を取りつけ、合計866両の車両の製造、27年半にわたる保守事業を一括受注した。IEPの国家予算は総額で57億ポンド(約8500億円)だ。

HREがIEPの受注を受け、2015年に8200万ポンド(約122億円)をかけてイギリス北東部、ニュートン エイクリフに工場を新設し、現在までに1000人の雇用を生み出している。2019年までにイギリスの14カ所で製造と保守関連のために2000人にまで雇用を増やすという。2020年までにはイギリスの中でも鉄道保守を担う最大の会社になるようだ。

こうした動きによってイギリスでは鉄道関連の製造系エンジニアに対するニーズが急増。イギリスで鉄道車両が製造されるのは、実に30年ぶりになるそうで、にわかに鉄道関連の求人が盛り上がってきている。

HRE社長のKaren Boswell氏は「世界的に有名な新幹線を建設した日立は今、次世代のイギリス列車を建設しています。これにより都市間移動に、より多くの輸送能力、快適性、そしてより低いCO2排出量を実現させます。 世界のパイオニアとして、当社の最先端のデジタル技術、そしてイギリスに根差した長期的な取り組みによって、イギリス鉄道業界の重要な位置で日立は役割を担い、乗客の移動を次世代のものに変えるでしょう」とコメントしている。

1926年、今から91年前に日本から日立のエンジニアが当時、鉄道事業の最先端をいくイギリス北東部を訪れ、イギリスの鉄道技術を学んでいったという。それが今、日立の先端技術とイギリスの製造業の力をあわせ、北東部の工場で車両を組み立てるという日を迎えている。

関連リンク

日本の優れた技術が生んだ高速鉄道が鉄道発祥の地、英国を走る
Hitachi unveils first UK built Intercity Express Train
First new trains in a generation launched by GWR

関連記事

アーカイブ

fabcross
meitec
next
メルマガ登録
ページ上部へ戻る